使用楽譜からみるメンゲルベルク④
使用楽譜からみるメンゲルベルク④

日本語要約
音楽学者・内藤眞帆による指揮者ウィレム・メンゲルベルクの再批評連載最終回。メンゲルベルクが「遺産の管理人」と任じたグスタフ・マーラーとの関係や、彼が使用した総譜に残る書き込み、楽譜への介入を通じた独自の解釈論について論じている。
全文(日本語)
金曜連載「名演奏家再批評」の第6弾として、音楽学者・内藤眞帆がウィレム・メンゲルベルクについて使用楽譜をもとに論じる連載の最終回。本稿では、メンゲルベルクが最も熱を注いだ同時代作曲家、グスタフ・マーラーに焦点を当てる。
1902年にクレーフェルトでマーラーの交響曲第3番を聴いて以来、メンゲルベルクはマーラーを「私たちの時代のベートーヴェン」と呼び、アムステルダムに招くなど熱心に支持した。マーラーもまた、メンゲルベルクを「自分の作品を完全に安心して任せられる唯一の存在」として信頼していた。作曲家の死後、メンゲルベルクは自らを「遺産の管理人」と任じ、1920年の「マーラー・フェスティバル」開催などを通じて作品の普及に努めた。
メンゲルベルクによるマーラーの録音は交響曲第4番と第5番の第4楽章のみだが、彼が使用した第10交響曲までの総譜は全て現存している。そこにはマーラーによる修正のほか、リハーサル時のボウイングや強弱の指示、メンゲルベルク自身による各楽章の性格や奏法に関する注釈が書き込まれている。マーラーが追求した「明瞭さ」を、メンゲルベルクはホールの最後列まで届けるために徹底し、ポルタメントなどの奏法も積極的に用いた。彼のテンポの揺れやアーティキュレーションは、音楽の輪郭を聴衆に刻み込もうとする意思の表れである。
メンゲルベルクは「音符の間にあるもの」を表現することを重視し、「解釈者は創造者を助けねばならない」という信念のもと、楽譜への介入も辞さなかった。彼の総譜に残る無数の書き込みは、作曲家の意図を現前させるための格闘の痕跡であり、演奏とは何かという問いを投げかけている。
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出典: Wikipedia 日本語版(各項目の要約・CC BY-SA)
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