【第3回】1975年(後篇)9月号~12月号 白熱するレコード・アカデミー賞レース
【第3回】1975年(後篇)9月号~12月号 白熱するレコード・アカデミー賞レース

『レコード芸術』新譜月評クロニクル第3回は、1975年9月号から12月号を振り返る。例年11~12月はレコード会社にとってボーナス商戦であり、レコード・アカデミー賞を意識したオペラや全集物の発売が集中した。1975年12月号ではオペラ7点が揃い、うち4点が推薦盤、3点がアカデミー賞候補となった。
候補となったのは、アーノンクール指揮ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスによるモンテヴェルディ《ポッペアの戴冠》、ベーム指揮ウィーン・フィルによるモーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ》、ケンペ指揮シュターツカペレ・ドレスデンによるR.シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》。また、スウィトナー指揮シュターツカペレ・ドレスデンによるフンパーディンク《ヘンゼルとグレーテル》も推薦盤となった。
高崎保男氏は《ポッペアの戴冠》について、実質的な初の全曲録音であり、アーノンクールの周到なレアリザシオンと現代的な感覚が新鮮な感銘をもたらすと評した。《コジ・ファン・トゥッテ》については、ベームの老いの影や統率力の減退を指摘しつつも、アンサンブルの完成度を評価した。《ナクソス島のアリアドネ》はケンペの指揮と歌手陣、特にシルヴィア・ゲスティの技巧を絶賛し、同作は1975年度レコード・アカデミー賞オペラ部門を受賞した。他に音楽史部門でセガーラ指揮コレギウム・アウレウム合奏団のベネヴォリ《ザルツブルク大聖堂祝典ミサ曲》、特別部門で尾高忠明指揮東京都交響楽団等の「湯浅譲二作品集成」が受賞した。
10月号の協奏曲では、ブレンデル(p)とマリナー指揮アカデミー室内管によるモーツァルトのピアノ協奏曲第27番・第18番と、ゴールウェイ(fl)とバウムガルトナー指揮ルツェルン弦楽合奏団によるフルート協奏曲第1番・第2番が競合した。志鳥栄八郎氏はブレンデル盤を高く評価しつつオーケストラの華やかさに若干の疑問を呈した一方、ゴールウェイ盤を「理想的な演奏」と絶賛した。なお、レコード・アカデミー賞はブレンデル&マリナー盤が受賞した。

