人間の罪と愛を描く――新国立劇場《エレクトラ》の世界を演出家ヨハネス・エラートが語る
人間の罪と愛を描く――新国立劇場《エレクトラ》の世界を演出家ヨハネス・エラートが語る

日本語要約
新国立劇場は2025/26シーズン最後として、22年ぶりにリヒャルト・シュトラウスのオペラ《エレクトラ》を新制作で上演する。演出を手がけるのはヨハネス・エラート。エラートは、本作を単なる復讐劇ではなく、世代を超えた「呪いの連鎖」や人間の潜在意識、原罪を問う物語と捉え、現実と幻想が混ざり合う不安定な舞台空間を構築する。公演は2026年6月から7月にかけて行われる。
全文(日本語)
新国立劇場が2025/26シーズン最後の演目として、22年ぶりにリヒャルト・シュトラウス《エレクトラ》(新制作)を上演する。演出は、元ヴァイオリニストでヨーロッパで評価を高めるヨハネス・エラートが担当する。
エラートは本作を、父アガメムノンを殺されたエレクトラによる復讐劇であると同時に、イフィゲニアの生贄に端を発する「呪いの連鎖」や「原罪」を扱う物語と解釈する。1909年初演の本作が心理学の発展期に生まれたことに触れ、人間の潜在意識の深層を覗くような演出を志向している。
舞台空間については、宮殿か精神病院か宇宙か判別できないような、熱に浮かされた不安定な世界観を提示する。本物のドアは存在せず、登場人物は常にどこかに存在しているような演出がなされる。エレクトラ、クリテムネストラ、クリソテミスの3人の女性については、それぞれが抱える欠落や強迫観念に焦点を当てる。特にエレクトラとクリテムネストラについては、互いを映し合う鏡のような存在として描く。
物語の転換点となるオレストの登場については、復讐を忘れた瞬間に生まれる愛と美しさを強調する。エラートは、オペラをリアルを超越した表現手段と捉え、善悪の決めつけに対抗する姿勢を示す。終幕近くのエレクトラの台詞を引用し、音楽が身体からあふれ出るような必然性を舞台で追求すると語った。
公演は2026年6月29日から7月12日まで、新国立劇場オペラパレスにて開催される。指揮は大野和士、管弦楽は東京フィルハーモニー交響楽団が務める。
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