仏教音楽、コラボしヨーロッパ公演 三井寺の「声明」、能や現代曲と [滋賀県] - 朝日新聞
三井寺の声明と能・現代音楽を組み合わせた「おとの三井寺」、ベルギーとフランスで海外初公演へ
壬申の乱や百人一首ゆかりの三井寺(天台寺門宗総本山園城寺、大津市)に伝わる仏教音楽・声明に能や尺八、現代音楽を組み合わせ、日本文化を紹介する公演が今月、ベルギーとフランスで開かれる。
声明は仏教の法要や儀式で僧侶が経典などに独特の抑揚や節をつけて唱える声楽曲。三井寺の国宝・勧学院客殿を舞台に、和歌や能、邦楽と現代音楽、声明やインスタレーションを組み合わせる体験型音楽イベント「おとの三井寺」の海外初公演となる。
公演では、客殿にある狩野光信筆の障壁画を高精度画像にして会場で投影する。声明「仏讃」や曼荼羅に描かれている百八の諸尊をたたえる「百八讃」を同寺の寺門流で声明衆6人が唱える。寺門流は力強いダイナミックな唱え方で知られ、「叡山のねむり節、三井の怒り節」と言われる。
このほか、藤原定家や西行の和歌をテーマにロンドン在住の作曲家藤倉大に委嘱した新曲「秋の夕暮れ」「入相の鐘」を、尺八の藤原道山とクラリネット奏者吉田誠が世界初演する。重要無形文化財総合指定の認定を受けるシテ方宝生流能楽師の辰巳満次郎による新作能と声明を組み合わせて演奏する。
能面を意識して書かれた武満徹の「マスク」は、作曲家遺族の許可を取り、クラリネットと尺八と能による編成で特別に演奏される。和歌や能をテーマにした曲を西洋と日本の楽器や声明で演奏し、日本の美意識の核心部分を伝える試みとなる。
三井寺の福家俊彦長吏は「藤原定家は、見渡せば花も紅葉もなかりけりと、秋の夕暮れに何もないことの美しさを和歌に詠んだ。人間と自然との関係性は、日本と欧米では正反対に近い。日本の文化を翻訳して持って行く時に、私たちも気づかなかったことに気づくかもしれない」と語る。
「おとの三井寺」芸術監督でベルギーを拠点に活動する吉田は「満次郎さんも道山さんも異なるジャンルをつなげる感性がある。言葉にできないタイミングなどを実際の公演で味わってほしい」と話す。
ベルギー公演は10月7日、ブリュッセルで開催される国際芸術祭「ARTONOV」会場。フランス公演は10日、パリ日本文化会館で開かれる。国内公演は、11月7、8日に三井寺の勧学院客殿で開かれる。6日には国宝の金堂でクラリネットと能などを組み合わせた無料の前夜祭公演も予定されている。
