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🇯🇵 日本ピアノレコ芸ONLINE · 2026年7月17日 10:01 · レビュー· 約2分で読めます

とある2つの「ロシア・ピアニズム」 ソフロニツキーとユージナ②

とある2つの「ロシア・ピアニズム」 ソフロニツキーとユージナ②

日本語要約
音楽学者・山本明尚による連載「名演奏家再批評」の第7弾。ロシアのピアニスト、ヴラジーミル・ソフロニツキーの録音に対する姿勢や、彼の演奏の特徴である和音の感性とルバートについて解説する。晩年の録音や、マイクを嫌ったエピソードなどを通じ、彼の音楽観を再批評する。
全文(日本語)

音楽学者・山本明尚による連載「名演奏家再批評」の第7弾。本稿では「ロシア・ピアニズム」のピアニストとして並び称されるヴラジーミル・ソフロニツキーとマリヤ・ユージナを、それぞれの録音観に着目して論じる。全4回のうち第2回にあたる本稿では、ソフロニツキーに焦点を当てる。

晩年のソフロニツキーは、大ホールの舞台を避け、気心の知れた聴き手が集まる小ホールでの演奏を好んだ。彼の演奏会では、マイクやテープレコーダーを彼の目の届かない場所に隠すという約束事があった。マイクの存在に気づくと緊張から演奏が崩れてしまうためである。これは単なる「あがり症」ではなく、機械が捉える音への不信感に起因する。彼は自宅での録音時にも、マイクではピアノの真の響きを捉えきれないとして、あえて「録音用」の不自然なペダリングを工夫していた。

ソフロニツキーはレコードを「物神崇拝」と呼び、自身の録音を「私の屍」と称した。しかし、実演に立ち会えない者にとっては、その録音から生の音楽の影を捉えるほかない。同時代人の証言によれば、彼の演奏の特徴は、和音を「垂直の塊」として捉える鋭敏な感性と、しなやかなルバートにある。彼はショパンやスクリャービンを直感で揺らしたが、その奥には強靭な脈動が通っていた。彼はマイクという機械の限界を前に、聴衆の熱気とホールの残響が溶け合う「一回性」のライヴにすべてを懸けた。

1961年に逝去したソフロニツキーの最後のスタジオ録音は、1960年12月11日にラジオ会館で行われた。曲目はシューベルト=リストの〈リタニア〉、リストの《巡礼の年第2年》より〈婚礼〉、スクリャービンのピアノ・ソナタ第2番第1楽章である。彼はこの録音に満足したと伝えられており、現在も彼の演奏の特徴を捉えた名演として聴くことができる。

関連キーワード解説 (2)
マリヤ・ユージナ人物・団体Wikipedia ↗

マリヤ・ヴェニアミノヴナ・ユーディナ は、ロシアのピアニスト。

ラジオ会館会場Wikipedia ↗

秋葉原ラジオ会館(あきはばらラジオかいかん)は、株式会社秋葉原ラジオ会館所有の東京都千代田区外神田一丁目にある商業ビル、及びその建て替えに伴う代替ビル群。通称「ラジ館」。株式会社秋葉原ラジオ会館の事業概要は、不動産賃貸、書籍販売・書道関連図書の出版業。もともと1893年創業の西東書房だった。

出典: Wikipedia 日本語版(各項目の要約・CC BY-SA)
タグ
ヴラジーミル・ソフロニツキーマリヤ・ユージナ山本明尚ラジオ会館ショパン:練習曲シューベルト=リスト:万霊節のための〈リタニア〉リスト:巡礼の年第2年《イタリア》~婚礼スクリャービン:ピアノ・ソナタ第2番《幻想ソナタ》
原文を読む → レコ芸ONLINE
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