ジョナサン・ノット指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 第602回定期演奏会 - 毎日クラシックナビ
ジョナサン・ノット指揮による大阪フィルハーモニー交響楽団第602回定期演奏会レビュー
今回の指揮者であるジョナサン・ノットは、現在、バルセロナのリセウ歌劇場の音楽監督を務めているが、日本では2014年4月から2026年3月まで務めた東京交響楽団の音楽監督としてその存在を定着させた。彼は、歌劇場のコレペティトゥアからの叩き上げのオペラ指揮者であり、現代音楽集団アンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督や、伝統的なドイツ音楽の解釈に定評のあるバンベルク響の首席指揮者など、さまざまなポストでの経験を指揮に生かしている。
今回はいわば挨拶代わりといえる曲目が並んだ。今年没後20年を迎えた、20世紀を代表する作曲家リゲティの代表作「ロンターノ」で始まった。ノットは作曲者から解釈を高く評価され、ベルリン・フィルとの演奏・録音のプロジェクトを手掛けている。微細な音のクラスター(群れ)が多彩な動きを示す作品の特徴を大阪フィルが見事に捉え、繊細な音のバランスと緊張感を弛緩することなく続け、作品の真価を導きだした。
続くドビュッシー「夜想曲」では、「雲」では音の連鎖が稜線を描くように続き、刻々とその表情を変えていく。「祭」では異なったリズムを両立させ、続く「シレーヌ」では、女声合唱を2分して舞台後方に配置、応唱の要素も加える興味深い演奏を繰り広げた。
ブラームスの交響曲第1番では、ノットの真骨頂が示された。「重厚」がトレードマークの交響曲だが、作曲家自身がそんな演奏をあまり好まなかったことを文献研究が明らかにしている。その一例として、速めのテンポをとり、重厚な弦楽器の森に隠されていた管楽器の室内楽的な合奏が表出し、音量を控えめにした弦楽器と合奏を繰り広げるなど、作品に内包された魅力的な部分が明らかになった。大阪フィルには室内楽的な要素と重厚さの両面を生かすという難題が降りかかったが、古典派から後期ロマン派まで、多くの作曲家をツィクルスで演奏した経験が生きてきた。こうした演奏には賛否があるだろうが、世界の趨勢を一度は経験しておく意味で必要だと思えた。
【公演データ】
大阪フィルハーモニー交響楽団 第602回定期演奏会
10月16日(金)19:00 フェスティバルホール(大阪)
指揮:ジョナサン・ノット
女声合唱:大阪フィルハーモニー合唱団
合唱指導:岩村 力
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:崔 文洙
プログラム:
リゲティ:ロンターノ
ドビュッシー:夜想曲
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68
(他日公演:10月17日(土)15:00 フェスティバルホール)

