バッティストーニ&東京フィルの注目録音 リヒャルト・シュトラウス《アルプス交響曲》を聴く
バッティストーニ&東京フィルの注目録音 リヒャルト・シュトラウス《アルプス交響曲》を聴く

日本語要約
アンドレア・バッティストーニ指揮、東京フィルハーモニー交響楽団によるリヒャルト・シュトラウス《アルプス交響曲》の録音レビュー。劇場で培われた劇的構成力と情景描写が光る一方、明晰な造形により作品の形而上的な側面を浮き彫りにした演奏である。
全文(日本語)
リヒャルト・シュトラウスが山の一日を題材にした《アルプス交響曲》は、15歳の時の山歩きの記憶が構想の原点となり、1915年に単一楽章の交響曲として結実した。バッティストーニ指揮・東京フィルによる本盤は、この一作品のみを収録した勝負作である。両者はこれまでベートーヴェンやマーラーの録音を重ねてきたが、シュトラウスは今回が初となる。イタリア・オペラ畑で育ったバッティストーニと、新国立劇場を中心に舞台作品を支えてきた東京フィルの組み合わせは、標題音楽である本作と高い親和性を見せる。
演奏の美質は随所に表れる。〈頂上にて〉では、オーボエの牧歌的な旋律から金管を軸とした響きの厚みで堂々たる頂点が築かれる。〈雷雨と嵐、下山〉の場面では、激烈な箇所でも各主題が混濁せず明晰に鳴り渡る。ただし、その明晰さゆえに対位法的な混沌の凄みはやや後退し、整いすぎた印象も残る。
本盤の真価は、激情よりも内省の領域にある。〈哀歌〉と〈終末〉において、オルガンを擁する響きが精緻に彫琢されており、オルガンが沈黙する箇所までもが透徹している。重厚さや官能ではなく、透明な彫琢と構造の明晰さによって、シュトラウスが登攀に託した形而上的な探究を照らし出している。冒頭と末尾の〈夜〉は、物質世界と形而上の世界を繋ぐ円環として全曲を縁取っており、演奏全体を貫く明晰な美学を指し示している。
【ディスク情報】
R.シュトラウス:アルプス交響曲
アンドレア・バッティストーニ指揮、東京フィルハーモニー交響楽団
録音:2025年9月(ライヴ)
レーベル:デンオン(COCQ85655)
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出典: Wikipedia 日本語版(各項目の要約・CC BY-SA)
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