【バレエ】新シーズン開幕 吉田都・新国立劇場舞踊芸術監督に聞く 「6年前なら考えられなかった『街の灯』への挑戦」「バレエ団の発展には体制の見直しが必要」 - 美術展ナビ
新国立劇場舞踊芸術監督の吉田都が語る、シーズン開幕作『街の灯』への挑戦とバレエ団発展に向けた組織体制の見直し
2026/2027年シーズンの開幕を前に、新国立劇場の吉田都舞踊芸術監督へのインタビューが行われた。就任から6年が経過し、近年のバレエ団の充実に自信を深め、ダンサーの環境整備が進展しているとした上で、劇場の組織や運営面の見直しも必要であると指摘した。
シーズン開幕を飾るのは、チャップリンの名作を世界で初めてバレエ化する新制作『街の灯』である。吉田監督は、チャップリン作品のパントマイム的表現や物語性がバレエと高い親和性を持つと実感していると語る。原作を忠実に再現しボクシングの場面などが登場するほか、振付のアラスター・マリオットのアイデアで華やかさやコール・ド・バレエの見せ場などエンターテイメント性も追加された。また、チャップリンが作曲した音楽の使用許諾をチャップリンオフィスから得ている。芸術監督就任当時の6年前であれば技術や演技の難しさからキャスティングが成り立たず挑戦できなかった演目であり、現在のカンパニーの技術力、演技力、ダンサーの主体性があって実現したと述べた。
最近の主要役への積極的な若手起用については、過度のプレッシャーを避けるバランスを取りつつ、若いうちに本番を経験させることが大切だと説明。指導においては達成すべきポイントを絞る重要性を説いた。
ダンサーの環境整備に関しては、産休や育休明けに以前のポジションで復帰できる環境が整い、結婚や出産に希望が持てるようステップアップしたことを評価した。
一方で、世界的に評価されたロンドン公演(ロイヤルオペラハウス)を経てバレエ団全体の力が上がったものの、海外展開を持続させるには課題が多いと言及。限られたスタッフの業務負担や、公的機関特有の定期的な人事異動によって海外とのコネクションや経験が蓄積されない問題を挙げ、組織として人脈を継承・拡張できる人事やキャリア形成の見直しが必要だと指摘した。
また、福岡や兵庫で行われる『ジゼル』の凱旋公演に触れ、東京に来られないファンのためにも全国公演は重要な使命であり、国内の足場を固めた先に海外展開へとつなげたいと語った。