ピアニスト、ジャン・チャクムルが語る 注目の録音プロジェクト「シューベルト+」の 現在とこれからのこと
ピアニストのジャン・チャクムル、録音プロジェクト「シューベルト+」の展開や今後について語る

2018年浜松国際ピアノコンクールで第1位を受賞したトルコ出身のピアニスト、ジャン・チャクムルが、カワイ表参道にて録音プロジェクト「シューベルト+(プラス)」などを語った。本シリーズは2028年のシューベルト没後200年に向けたBISレーベルでの全12巻のプロジェクトであり、2026年9月に来日したチャクムルがインタビューに応じた。
「シューベルト+」シリーズは、1枚85分以内に収める選曲や、よく知られている曲とそうでない曲の組み合わせなどが熟慮されている。第1巻(シューベルト+シェーンベルク)に続き、ブラームス、クルシェネク、ヴォジーシェク・ショパン・スクリャービン、ベートーヴェン、シューマンとの組み合わせがリリースされてきた。第7巻となる新譜『シューベルト+ラッヘンマン』では、シューベルトのイ短調のソナタ第14番、第16番と、ヘルムート・ラッヘンマンの《フランツ・シューベルトの主題による5つの変奏》がカップリングされている。ラッヘンマンがこの曲を書いたのは、シューベルト研究者でもあるユルゲン・ウーデに師事していたシュトゥットガルト音楽大学時代(1955~58年)のことである。
チャクムルは、プロジェクト開始当初は「正しく弾くこと」に縛られていたが、徐々に解き放たれシューベルトに対して恐れがなくなったと語る。録音はリリース順にとらわれず、実演で弾き込んでいる作品や精神的コンディションに合わせてフレキシブルに行われている。今後は2028年までに全12巻を完了させる予定で、《さすらい人幻想曲》やフランツ・リストの作品、友人のファジル・サイが作曲した《トリプルコンチェルト》の録音などが計画されている。
また、リストを大切な作曲家と位置づけており、ワイマール音楽大学時代にはリストの指導記録に興味を持っていたという。さらに、アルフレート・ブレンデルのシューベルト演奏に深い感銘を受けており、親密でプライヴェートな空間での演奏スタイルを自身も求めていると述べた。チャクムルは2026年9月からロンドンのパーセル音楽院ピアノ科教授として教育活動にも携わっている。

