リヒターかアーノンクールか 舩木篤也×矢澤孝樹 【後編】
リヒターかアーノンクールか 舩木篤也×矢澤孝樹 【後編】

日本語要約
音楽評論家の舩木篤也と矢澤孝樹が、カール・リヒターとニコラウス・アーノンクールという二人の巨匠のバッハ演奏を比較・考察する対談の後編。リヒターが19世紀以降の伝統を深化させたのに対し、アーノンクールはバッハ以前の音楽への視座を持ち、歴史的演奏(HIP)の地平を切り拓いた。対談では、アーノンクールの演奏が持つ「表現の回復」という側面や、彼が自身の演奏を歴史の中で相対化していた姿勢、そして現代の演奏実践に与えた普遍的な影響力について多角的に議論が展開される。
全文(日本語)
特別企画シリーズ「カール・リヒターとアーノンクール」の完結編では、音楽評論家の舩木篤也さんと矢澤孝樹さんが、アーノンクールの仕事を中心に議論を深めます。
アーノンクールは、リヒターとは異なり、バッハ以前の音楽に遡ることで「表現の回復」を目指しました。当初は歴史的再現への理解が得られず批判も受けましたが、彼は根気強く自身の音楽を鍛え上げ、70年代後半から80年代にかけて独自の表現を確立しました。
対談では、アーノンクールがモダン・オーケストラとも積極的に共演し、本質的思考と実践を切り分けていた柔軟性に注目します。また、彼が自身の演奏を「時代と結びついたもの」として相対化し、あえて誇張やデフォルメを用いた戦略的なアプローチをとっていた点についても言及されます。
リヒターのドグマティックな側面と対比させつつ、アーノンクールの方法論が現代の演奏実践にどのような普遍的価値を残したのかを問い直す内容となっています。
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