Cream of the crop
フィラデルフィアの声楽アカデミー「AVA」でジャルジャリ・ベルカント・コンクールが開催され、ドーソン・フランツィーノが優勝

フィラデルフィアの声楽アカデミー(AVA)で開催された今年の「ジャルジャリ・ベルカント・コンクール」における若手歌手たちの豊作について、批評家が報告する。
数年ぶりにフィラデルフィアの声楽アカデミー(AVA)を訪れた。このコンクールは所属レジデント・アーティストの声を多く聴く絶好の機会であり、今年は16名が参加する豊作の年となった。参加人数が多かったため各歌手はアリア1曲に制限されたが、多くは実質的な聴きどころのある選曲を行っていた。
【入賞者(逆順)】
興味深いことに、入賞者はテノール2名とメゾソプラノ2名に分かれた(審査員の一人はドローラ・ザジックであった)。2位が同着となったため、計4名が入賞した。
・第3位:キャサリン・ドブス(メゾソプラノ)
力強さと重みを併せ持つ力強いリリック・メゾ。モーツァルト『皇帝ティートの慈悲』の「私は行く、だが愛しい人よ(Parto, parto)」を歌い、広い音域と美しい音色を示した。
・第2位(同着):ジョシュア・バーグ(テノール)/マシュー・シンク(テノール)
バーグは美しいリリック・テノールで、『魔笛』の「なんと美しい絵姿(Dies Bildnis ist bezaubernd schon)」を気品と洗練をもって歌った。シンクは本格的なドラマティック・テノールの素質を持ち、『道化師』の「衣裳をつけろ(Vesti la giubba)」を力強く響かせた。
・第1位:ドーソン・フランツィーノ(メゾソプラノ)
フランツィーノは聴衆賞も受賞した。広い音域全体にわたり均一な響きを持つ真のメゾであり、『チェネレントラ』の「苦しみと涙に生まれ…もう悲しまない(Nacqui all’affanno… Non più mesta)」を披露した。
【筆者が賞を与えたかった2名の歌手】
・ライアン・ウォーナル(バス)
真のバス歌手であり、グノー『ファウスト』の「眠ったふりをせずに(Vous qui faites l’endormie)」を披露。難しい笑いのパッセージを見事に歌いこなした。
・ビューティフル・シェリフ(ソプラノ)
カーライル・フロイド『スザンナ』の「なんて素敵な夜(Ain’t It a Pretty Night)」を披露し、役柄と一体となった演奏を見せた。
【全体の所感】
ペレルマン・シアターという親密な空間において、全体的に声の大きい歌手が多く、大声での歌唱が目立ち、メゾフォルテやピアノでの歌唱がもっと求められた。また、演技を過剰に試みる傾向も見られた。16名参加のため1曲制限となったが、今後は2曲に戻ることが期待される。
全参加歌手の伴奏はAVA音楽監督でピアニストのダニエル・オーランドが務めた。なお、今年のAVAでは『愛の妙薬』『イル・トロヴァトーレ』、そして『外套』と『ジャンニ・スキッキ』の二本立てなどが予定されている。
