タイヨンダイ・ブラクストンが語る、新しい音楽を創り上げるための実験と探求「まだすべてが発見されたわけではない」 - Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)
タイヨンダイ・ブラクストンが語る、最新エレクトロニック・アルバム『Splayed Werks』の制作背景と音楽的探求
タイヨンダイ・ブラクストン(Tyondai Braxton)の最新アルバム『Splayed Werks』は、前作のオーケストラ作品『Telekinesis』(2022年)の反動として生まれた、原点回帰的なエレクトロニック作品である。自身の演奏やオーケストラのサンプリング音源を緻密な音響処理でミニマリズムの形式に落とし込んだ本作について、タイヨンダイが制作の経緯を語った。
制作の多くは自身のホームスタジオで行われた。タイヨンダイにとってスタジオは常にホームベースであり、オーケストラ作品の制作中も並行してエレクトロニック・ミュージックの制作を続けていたという。本作の楽曲の大半はこの4〜5年の間に作られたもので、出発点はシンプルに保ちつつ、サウンドデザインに時間をかけて磨き上げた。楽曲の構造はシンプルにし、物事を無理にコントロールせず、自然に生まれる断片を蓄積して物語のようなコレクションとして完成させた。
本作は完全なソロ・アルバムであり、サンプリング素材を除けば他のミュージシャンは参加していない。唯一の例外である「Piiano」は、ピアノのあるリハーサル・スペースでiPhoneを用いて録音された。タイヨンダイはピアノを好んでおり、本作での演奏を通じて、エレクトロニック・ミュージックの中にアコースティック楽器をどう取り入れるかという新たなアイデアを得たという。
制作に最も時間を要した曲として「Oslo」を挙げ、納得できる形にするためにエディットを繰り返したと語った。また、最終曲「K Space」については、オーケストラ作品のサンプリング素材を大胆に変形・拡張させることで、オーケストラ音楽への愛情を反映させつつ、聴き手がその空間に入り込めるような「生きて呼吸している環境」を目指したと説明している。