森麻季 ソプラノ・リサイタル~愛と平和への祈りをこめて Vol.16~ - 毎日クラシックナビ
ソプラノ歌手・森麻季によるリサイタル「愛と平和への祈りをこめて Vol.16」の公演レビュー
平和への渇望を歌にして届け、聴く人の安らぎと前を向く力につなげたいという願いを込めた、ソプラノ歌手・森麻季のライフワークであるリサイタル「愛と平和への祈りをこめて Vol.16」が開催された。森の願いは、9.11テロの3日後、現場近くの劇場で「ホフマン物語」のオランピアを歌い、観客から「芸術が平和を呼ぶように」と声をかけられた体験に根差している。
本公演では、モーツァルト「フィガロの結婚」より伯爵夫人のアリア2曲が披露され、感情を細やかに紡ぐ歌唱が展開された。ベートーヴェンのオラトリオ「オリーヴ山のキリスト」からは2曲が歌われ、ベッリーニ「ノルマ」の「清らかな女神よ」では流麗な旋律に平和への願いが込められた。後半の日本歌曲では、木下牧子の「ひばり」「海と涙と私と」「さびしいカシの木」などが歌われ、言葉の響きを大切にした表現がなされた。また、中田喜直の「悲しくなったときは」、村井邦彦の「翼をください」、武満徹の「小さな空」など、成熟した声と純粋な魂が宿る歌唱が披露された。
香原斗志氏は、若いころのような自由度とは異なる、自然や心の情景を強く描写する純度の高い歌唱であり、聴く者に元気を与えるものだったと評している。
公演データ:
9月19日(土) 14:00 東京オペラシティ コンサートホール
ソプラノ:森麻季
ピアノ:山岸茂人
プログラム:
モーツァルト:オペラ「フィガロの結婚」より〝愛の神よ、安らぎを与えたまえ〟〝幸せだったあの日々は〟
シューベルト:即興曲 変ト長調 Op.90-3
ベートーヴェン:オラトリオ「オリーヴ山のキリスト」より〝救い主の慈悲をたたえよ〟〝おお、あなた方は救われた〟
ベッリーニ:オペラ「ノルマ」より〝清らかな女神よ〟
ブラームス:ピアノ・ソナタ 第3番 ヘ短調 Op.5より 第2楽章アンダンテ
シュトラウスⅡ:オペレッタ「こうもり」より〝故郷の調べ(チャールダーシュ)〟
木下牧子/やなせたかし:「愛する歌」より〝ひばり〟〝海と涙と私と〟〝さびしいカシの木〟
ドビュッシー:「子供の領分」より〝人形へのセレナード〟〝雪は踊っている〟
中田喜直/寺山修司:「悲しくなったときは」
中田喜直/鎌田忠良:「霧と話した」
村井邦彦/山上路夫:「翼をください」
アイルランド民謡:「ダニー・ボーイ」(キース・ジャレットによるリハーモナイズ)
木下牧子/岸田衿子:「花のかず」より〝竹とんぼに〟
木下牧子/まど・みちお:「おんがく」
武満徹:「小さな空」
菅野よう子/岩井俊二:「花は咲く」
アンコール:マスカーニ「アヴェ・マリア」、プッチーニ「ラ・ボエーム」より〝私が街を歩けば〟他
なお、9月27日(日)には住友生命いずみホール(大阪)での公演も予定されている。

