作曲家の向井響、デジタル技術で浄瑠璃の感情表現 新作「人の声/機械の声」日本初演へ - 産経ニュース
作曲家の向井響、IRCAMで制作した新作「人の声/機械の声」を来年1月に世界初演、2月に日本初演へ
若手作曲家の向井響(33)の新作「人の声/機械の声 Voix Humaine /Voix Mécanique」が来年、東京文化会館の音楽祭で初演される。向井は東京文化会館のプロジェクトにより、パリのポンピドゥー・センターの音楽部門であるIRCAM(フランス国立音響音楽研究所)に派遣され、作曲した。浄瑠璃の声をデジタル技術で処理する手法を用いている。
東京文化会館のプロジェクトは「音楽クリエイター育成プロジェクトTokyo&Paris to the NEXT」と題し、IRCAMと共同で邦人若手作曲家に委嘱を行うもの。IRCAMはポンピドゥー大統領のもとで開設が進められ、初代所長にピエール・ブーレーズを迎えて1977年に設立された公的機関である。東京文化会館は向井響、北爪裕道、横山未央子の作曲家3人と、音響エンジニアの金原直哉のIRCAMへの派遣を決めた。プロデューサーを務める東京文化会館音楽監督で作曲家・ピアニストの野平一郎(73)は、IRCAMのフランク・マドレーヌ所長と相談してクリエイターを選出した。
向井は1993年静岡市生まれ。桐朋学園大学音楽学部作曲科卒業、同研究科修了。ハーグ王立音楽院ソノロジー研究所修士課程を経て、2020年にアントワープ王立音楽院大学院作曲科を修了。現在はポルト大学大学院工学研究科博士研究員を務めている。
「人の声/機械の声」には、女流義太夫の竹本越孝による人形浄瑠璃・歌舞伎の演目「菅原伝授手習鑑」4段目「寺子屋」の声が使用されている。越孝が語る浄瑠璃から音声モデルを作成し、怒りや悲しみなど4つの感情をAIにディープラーニング(深層学習)させ、独特の節回しや声の特徴を分析・変換するほか、音声モーフィング技術を活用している。さらに5人の奏者と、演奏音をリアルタイムに加工・出力するライブエレクトロニクスが用いられる。
本作は来年1月にIRCAMで世界初演された後、2月26日に浜離宮朝日ホールで行われる「フェスティヴァル・ランタンポレル」のプレミエ・コンサートで日本初演される。なお、育成対象者である北爪の作品は2028年、横山の作品は2029年に日本初演される予定となっている。


