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🇯🇵 日本オーケストラレコ芸ONLINE · 2026年6月1日 11:01 · レビュー· 約2分で読めます

【連載】プレルーディウム 第20回/舩木篤也

【連載】プレルーディウム 第20回/舩木篤也

日本語要約
音楽評論家・舩木篤也氏による連載第20回。指揮者ミシェル・タバシュニクが新日本フィルを指揮したブラームス交響曲第2番の演奏を軸に、自身の転居体験と重ね合わせながら「再現部」の音楽的意義について考察する。
全文(日本語)

音楽評論家・舩木篤也氏の連載「プレルーディウム」第20回。今回は指揮者ミシェル・タバシュニクを取り上げる。タバシュニクはスイス・ジュネーヴ出身で、マルケヴィチやブーレーズのアシスタントを務め、クセナキスからも高く評価された音楽家である。自身も作曲家であり、2016年にはオペラ『Benjamin, dernière nuit』がリヨン歌劇場で初演された。

筆者は2026年5月8日、サントリーホールでの新日本フィルハーモニー交響楽団定期演奏会でタバシュニクの指揮を初めて聴いた。演目はラヴェルの《ラ・ヴァルス》、ショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番(独奏:アンドレイ・イオニーツァ)、ブラームスの交響曲第2番。特にブラームスの演奏は、テンポや息づかいが大きく変化する点で、ハンス・クナッパーツブッシュの1956年アスコナ・ライヴを想起させるような、驚くべき指揮芸術であった。

筆者はこの演奏の「再現部」の説得力に強く打たれた。折しも筆者は、再開発に伴う立ち退き要求により、2ヶ月間かけて転居先を探すという難儀な状況にあった。最終的にかつて住んでいた荻窪の物件に空きを見つけ、戻ることになった際、その安堵感と同時に、未知の可能性が閉ざされたことへの悲哀を感じた。筆者はこれをソナタ形式の「展開部から再現部への移行」になぞらえ、再現部とは懐かしさと無残さが同居する「時」の変容であると考察する。

タバシュニクのブラームス第2番の再現部では、提示部で3度関係にあった主題が主調のニ長調に収斂され、副次主題が提示部以上に重く鳴らされた。コーダにおける新日本フィルの美しい響きとともに、タバシュニクの濃やかな指揮が光った。なお、関連音源としてタバシュニク指揮ブリュッセル・フィルによるドヴォルザークの交響曲第9番《新世界より》が紹介されている。

▼関連キーワード解説 (6)
ミシェル・タバシュニク人物・団体Wikipedia ↗

ミシェル・タバシュニク は、スイスの指揮者、作曲家。

イーゴリ・マルケヴィチ人物・団体Wikipedia ↗

イーゴリ・ボリソヴィチ・マルケヴィチ は、ロシア帝国(現・ウクライナ)生まれ、スイス育ちの作曲家・ピアニスト・指揮者。マルケヴィッチとも表記。弟のドミートリ・マルケヴィチは音楽学者・チェリスト、息子のオレグ・カエターニは指揮者。

ピエール・ブーレーズ人物・団体Wikipedia ↗

ピエール・ルイ・ジョゼフ・ブーレーズ は、フランスの作曲家、指揮者。

ヤニス・クセナキス人物・団体Wikipedia ↗

ヤニス・クセナキス は、ルーマニア生まれのギリシャ系フランス人の現代音楽作曲家。建築家。

クナッパーツブッシュ人物・団体Wikipedia ↗

ハンス・クナッパーツブッシュ は、ドイツの指揮者。ヨーロッパを中心に活躍し、とくにリヒャルト・ワーグナーやアントン・ブルックナーの解釈者として著名である。1951年から1964年にかけて、ほぼ毎年出演したバイロイト音楽祭では主幹的指揮者を務め、ワーグナーの演奏史上最も偉大な指揮者の一人として広く知られている。

サントリーホール会場Wikipedia ↗

サントリーホール は、東京都港区赤坂一丁目にあるコンサートホール。アークヒルズの一画に1986年10月12日に開館した。敷地は森ビルが、建物は森ビルとサントリーホールディングスが所有し、公益財団法人サントリー芸術財団が運営する。

出典: Wikipedia 日本語版(各項目の要約・CC BY-SA)
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