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🇬🇧 イギリス声楽Opera Today · 2026年7月14日 11:01 · レビュー· 約2分で読めます

Missa Papae Marcelli at the Tower of London (Spitalfields Festival)

ロンドン塔における『教皇マルチェルスのミサ』(スピタルフィールズ音楽祭)

日本語要約
2026年スピタルフィールズ音楽祭の最終公演として、ロンドン塔内の聖ペテロ・アド・ヴィンクラ礼拝堂にて、パレストリーナ作曲・ソリアーノ編曲の『教皇マルチェルスのミサ』が演奏された。合唱団の指揮はコルム・ケアリーが務めた。プログラムにはパレストリーナの『アヴェ・レジーナ・チェロルム』や、ダニエル・グリーナウェイによるフロー・ペーテルスのオルガン作品、シャルル・トゥルヌミールの『神秘的なオルガン』からの楽曲も含まれた。
全文(日本語)

2026年スピタルフィールズ音楽祭のこの最終公演は、優れた音楽体験をもたらしただけでなく、ロンドン塔にある二つの礼拝堂の一つ、聖ペテロ・アド・ヴィンクラ礼拝堂を訪れる機会を与えてくれた。現在の建物は1520年代のものだが、同じ場所にはノルマン・コンクエスト以前から建物が存在していた可能性がある。そこにはヘンリー8世の二人の妻、アン・ブーリンとキャサリン・ハワード、そして9日間王位にあったジェーン・グレイなど、多くの人々が埋葬されている。トマス・マコーリーは19世紀半ばの著書『イングランド史』の中で、この礼拝堂について「この小さな墓地ほど悲しい場所は地上にない」と記した。

悲しみという言葉をどう定義するかによるが、この王室礼拝堂は、現在では監獄や処刑、死といったイメージが先行しがちなロンドン塔という複合施設の中で、興味深く、異例で、奇妙な場所である。ロンドン塔が何世紀にもわたってイングランドの君主が宮廷の華やかさの中で暮らし、食事や祈りを行っていた場所であったことは忘れられがちである。

周囲に墓があるとはいえ、このコンサートに死の気配はなかった。プログラムは異例で、パレストリーナの有名な『教皇マルチェルスのミサ』を、彼の弟子であるフランチェスコ・ソリアーノが8声の二重合唱用に編曲したものが演奏された。ロンドン塔王室礼拝堂合唱団の指揮者コルム・ケアリーによれば、英国内でのコンサート初演の可能性があるという。トリエント公会議がポリフォニーを排除しようとしたという伝説や、パレストリーナのミサがそれを「救った」という伝説は、あくまで伝説に過ぎないかもしれない。しかし、典礼文の明瞭さは重要であり、ソリアーノ版でもそれは維持されていた。パレストリーナのミサは本来6声だが、ソリアーノは新しい多声合唱様式を採用している。

豊かで明瞭な演奏は、対位法と和声のバランスを保っていた。「キリエ」は美しく流れ、「クリステ」との対比も鮮やかであった。パレストリーナの8声の『アヴェ・レジーナ・チェロルム』も、対位法の喜びと教訓を与えてくれた。「グローリア」における典礼文の明瞭さは疑いようがなかった。また、ダニエル・グリーナウェイが演奏したフロー・ペーテルスの『トッカータ、フーガと賛歌』は、その構造が明確に伝えられた。シャルル・トゥルヌミールの『神秘的なオルガン』からの2曲は、礼拝堂のオルガンの異なる側面を見せ、作曲家による聖歌の展開が素材の本質に根ざしていることを示した。

原文(抜粋)
This final concert from the 2026 Spitalfields Festival provided not only an excellent musical experience. It also offered the opportunity to visit one of the Tower of London’s two chapels, St Peter ad Vincula, its current building dating from the 1520s, although others have stood on the same site, perhaps even prior to the Norman Conquest. Many are buried there, including two of Henry VIII’s wives, Anne Boleyn and Catherine Howard, both executed at the Tower, and his successor-but-one, albeit for nine days, Queen Jane. Thomas Macaulay wrote of the chapel, in his mid-nineteenth-century  History of England : In truth there is no sadder spot on the earth than that little cemetery. Death is there associated, not, as in Westminster Abbey and Saint Paul’s, with genius and virtue
▼関連キーワード解説 (3)
ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ人物・団体Wikipedia ↗

ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ は、イタリア・ルネサンス後期の音楽家である。一般に「パレストリーナ」と呼ばれるが、ジョヴァンニ・ピエルルイージが名(ファーストネーム)で、パレストリーナは後述のように出生地であり、「ジョヴァンニ・ピエルルイージ・ダ・パレストリーナ」とは「パレストリーナ出身のジョヴァンニ・ピエルルイージ」という意味である。カトリックの宗教曲を多く残し「教会音楽の父」ともいわれる。

シャルル・トゥルヌミール人物・団体Wikipedia ↗

シャルル・トゥルヌミール は、フランスの作曲家。オルガン奏者として卓越した即興演奏でも有名だった(録音も残っている)。パリ音楽院でセザール・フランクに、スコラ・カントルムでヴァンサン・ダンディに学んだ後にパリ音楽院室内学科で教鞭を執りつつ、聖サント・クロティルド教会のオルガニストに就任した。弟子ではオリヴィエ・メシアン等が知られる。

ウィリアム・バード人物・団体Wikipedia ↗

ウィリアム・バード は、イングランドで活躍したルネサンス音楽の作曲家である。「ブリタニア音楽の父」 として現代イギリスにおいて敬愛されている。

出典: Wikipedia 日本語版(各項目の要約・CC BY-SA)
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エリオノル・マルティネスパトリシア・コルデロル・ラウディトリ
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