オギュスタ・オルメスに魅せられて 録音編/谷戸基岩
音楽評論家の谷戸基岩がオギュスタ・オルメスの録音や音源蒐集の変遷を紹介

注目すべき女性作曲家を紹介する連載の第7回として、音楽評論家の谷戸基岩がオギュスタ・オルメス(1847~1903)の「録音編」を解説している。オルメスは19世紀フランスで活躍したワグネリアン作曲家で、1889年パリ万博で大作《勝利の頌歌》を発表し、サン=サーンスやドビュッシーに高く評価された。
谷戸氏は大のサン=サーンス・ファンであり、彼がオルメスに求婚して断られたことや交響詩《オンファールの糸車》などを献呈したこと、フランクのオルメスへの不倫願望が結実したとされる《ピアノ五重奏曲 ヘ短調》初演でピアノを弾いたエピソードなどに触れつつ、音源蒐集の経緯を語る。
最初に手にしたCDはエヴァ・チャポー(ソプラノ)とアリシア・マサ(ピアノ)による『歌曲選集』(Accord)。続いてオダリーヌ・デ・ラ・マルティネス監修の『打ち捨てられた花々~フランスの女性作曲家たちの歌曲集』(Lorelt)にオルメスの歌曲が5曲収められていた。
管弦楽曲では、ラインラント=プファルツ・フィルハーモニックによる『管弦楽作品集』(Marco Polo、指揮:サミュエル・フリードマン、パトリック・ダヴァン)が長らく唯一の録音だったが、2024年に同団をマイケル・フランシスが指揮した『オルメス/交響詩集』(cpo)が登場し、交響詩3曲や間奏曲《夜と愛》に加えサンフォニー《怒れるロラン伯》が収録された。
室内楽では、ルイジ・マジストレッリ(クラリネット)とクラウディア・ブラッコ(ピアノ)による『女性作曲家のクラリネット作品集』(Gallo)に《モルト・レント》と《幻想曲》が収録。また《3つの小品》は、ジュリエット・ユレル(フルート)とエレーヌ・クヴェール(ピアノ)による盤(Alpha)と、バルド・コローナ・デュオによる『見えない星たち』(Da Vinci Classics)の2つの録音がある。
近年は間奏曲《夜と愛》の録音が相次ぎ、『ウィーン・フィル・シェーンブルン・サマーナイト・コンサート2024』、チェロ8による『夜への頌歌』、ヴォルフガンク・デルナー指揮パドゥルー管弦楽団による『星の夜~ベルリオーズ、オルメス』(Gramola)が登場している。このほか四手連弾版の交響詩《ポーランド》(Toccata Next)、スティーヴン・イッサーリス編曲による《王妃の幻影》より〈レシタティフと歌〉を含む『プルーストのサロンの音楽』(BIS)、パルツェット・ブル・ザーネ制作の8枚組などが紹介され、未録音作品への今後の録音が期待されている。
