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🇯🇵 日本オーケストラGoogle News JP オケ東京3 · 2026年8月13日 12:32 · レビュー· 約4分で読めます

フェスタサマーミューザKAWASAKI2026 原田慶太楼 指揮 東京交響楽団フィナーレコンサート - 毎日クラシックナビ

フェスタサマーミューザKAWASAKI2026 原田慶太楼 指揮 東京交響楽団フィナーレコンサート

日本語要約
2026年8月11日、ミューザ川崎シンフォニーホールにて「フェスタサマーミューザKAWASAKI2026」のフィナーレコンサートが開催された。原田慶太楼指揮、東京交響楽団の演奏で、ファリャ、プロコフィエフ、山本菜摘、チャイコフスキーの作品が披露された。ピアノ独奏は久末航が務めた。
全文(日本語)

原田慶太楼のプログラミングには柱をいくつか立て、それらを縦横に組み合わせながら、客席に一貫した聴後感を与える周到さがある。今日の第1の柱は記念年(アニバーサリー)。前半は没後80年のファリャ、生誕135年のプロコフィエフ、それぞれ30歳前後に書いた「若い作品」を並べ、ともに強い影響を受けた20世紀初頭のパリの輝きに2つ目の柱を置いた。1998年生まれの若い作曲家、山本菜摘の「宴」は生命力にあふれた〝お祭り騒ぎ〟のキーワードでファリャと、チャイコフスキーの交響曲は「ロシア」でプロコフィエフと、それぞれ対をなす。フェスタの幕切れに相応しいメニューだ。

ファリャは14型(第1ヴァイオリン14人)。原田はタクトを持たず、大きな身振りと音響で聴衆の耳を一気に引き寄せ、日本のオーケストラが必ずしも得意ではない「ゆらぎ」を懸命に求める。トゥッティ(総奏)では自ら手をたたいてあおり、コーダに向かって強烈なアッチェルランド(加速)で駆け抜けた。

プロコフィエフは12型に減らし、ピアノとの音響バランスを整えた。久末航は昨年、ブリュッセルのエリザベート王妃国際音楽コンクールで第2位を得て注目されただけに、バリバリのテクニックで「大向こうをうならせる」演奏を期待した人もいたに違いない。だが知性の人、久末はプロコフィエフが担うモダニズムの世界に軽妙洒脱なタッチで迫った。スタインウェイをセピア色とも形容すべき落ち着いた音色で鳴らし、才気の裏に潜む抒情美まで漏れなく掬い上げる。第2楽章にはパリのサロンの香りを忍ばせ、第3楽章で原田がロシア風の主題を雄大に歌い上げて初めて、ヴィルトゥオーゾにふさわしい強靭な技を前面に押し出した。アンコールのリストが色彩豊かに奏ででられた瞬間、プロコフィエフのセピア色が緻密に計算された解釈の反映だったと気づいた聴き手は多かったはずだ。

後半は再び14型。山本菜摘はサントリーホールの東響こども定期演奏会で原田が主導した「新曲チャレンジ・プロジェクト♪」の企画で才能を発掘された。「宴」は群馬交響楽団の委嘱新作で、2024年に原田が高崎芸術劇場で世界初演した。「外山雄三の〝ラプソディー〟の21世紀ヴァージョン」として構想され、「八木節」や「草津節」の旋律も現れる。都心の高層ビルやマンションが林立する一角に旧市街が残り、新旧住民が「お祭り」の熱狂で1つになる感じ。原田に焚き付けられた東響の熱演もあり、モダン&トラディショナルの融合が新鮮なグルーヴを生んでいた。

チャイコフスキーの交響曲第5番は実測45分間の全楽章アタッカで演奏された。第1楽章は過度の重さを避け、しみじみとした情感を大切にしながら次第に緩急のメリハリをつけ、自然なクライマックへ導いた。第2楽章も温かな感触を保つなか、「運命の動機」のクライマックスが突然の嵐のように屹立した。第3楽章のワルツがあまりエレガントに弾まなかったのは原田の解釈なのか、日本人の指揮者とオーケストラの組み合わせのウィークポイントなのか、この時点では判然としなかったが、第4楽章の展開から逆算すると、意図的だったと思える。序奏では抑制を効かせたまま、第1主題で加速と爆発が現れた。コーダも堂々と鳴り響かせながら、勢い任せは皆無でスビトピアノなどの細かな工夫を凝らし、現在の東響の持ち味を最大限に引き出してみせた。ロシア音楽の懐に分け入るようなアプローチのなか、首席トランペット奏者ローリー・ディランの底抜けに明るい音色に引っ張られた金管チームが、フランス音楽風の異彩を放ったのも面白かった。

この日の東響ではフルート竹山愛、オーボエ荒木良太、クラリネット吉野亜希菜、ファゴット福士マリ子ら首席奏者をはじめとする木管楽器群の妙技が際立った。それぞれが突出するのではなく周囲の音を良く聴きながらチームプレーを盛り上げる背景には、今年4月に就任した新しい音楽監督ロレンツォ・ヴィオッティがリハーサルでセクションごとの分奏を重視してきた成果が、早くも反映されているようだ。

もちろんアンコールは原田が東響正指揮者だった時期から、フィナーレコンサートの〝定番〟を目指して振り続けてきた山本直純の「好きです かわさき 愛の街」と決まっている。もはや指揮者が促す必要はなくなり、客席が盛大な手拍子で〝共演〟する。ウィーン・フィル「ニューイヤー・コンサート」のヨハン・シュトラウスⅠ世「ラデツキー行進曲」、ベルリン・フィル「ヴァルトビューネ・コンサート」のパウル・リンケ「ベルリナー・ルフト」と並ぶ、〝ご当地アンコール〟に定着した。今後、原田以外がフィナーレの指揮を担う際も、このアンコールは「音楽の街かわさき」の象徴として、脈々と受け継がれていってほしい。

▼関連キーワード解説 (3)
原田慶太楼人物・団体Wikipedia ↗

原田 慶太楼 は、日本の指揮者、写真家。

東京交響楽団人物・団体Wikipedia ↗

公益財団法人東京交響楽団 は、日本のプロオーケストラの一つ。略称は、東響(とうきょう)。2002年から川崎市フランチャイズオーケストラとしてミューザ川崎シンフォニーホールを本拠地とし、法人本部は東京都の新宿区百人町に置く。日本オーケストラ連盟正会員。

久末航人物・団体Wikipedia ↗

久末 航 は、日本のピアニスト。滋賀県大津市生まれ。

出典: Wikipedia 日本語版(各項目の要約・CC BY-SA)
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