Crítica: Carmen a través del espejo (roto)
ビゼーのオペラ『カルメン』:アル・エスコリアルでの公演評

2026年9月12日、サン・ロレンソ・デ・エル・エスコリアルのテアトロ・アウディトリオにて、ビゼーの『カルメン』抜粋版が上演された。出演はガエル・アルケス(カルメン)、アルトゥーロ・チャコン=クルス(ドン・ホセ)、ジャンルカ・マルゲリ(エスカミーリョ)。演出はバルバラ・リュック、音楽監督はアロンドラ・デ・ラ・パーラが務め、マドリード州立管弦楽団・合唱団が演奏した。
今回の公演では、原作の第1幕の子供たちの合唱やミカエラが登場せず、全3幕の構成が約1時間半に短縮されていた。また、密輸業者の五重唱が四重唱に変更され、演出家のバルバラ・リュックが舞台上に登場する演出がなされた。
舞台は現代のスマートフォンやSNSが普及した時代に置き換えられ、AIによる映像が投影された。冒頭ではジェンダーに基づく暴力に関する新聞記事の切り抜きが映し出され、その後はマッチングアプリのメッセージなどが表示された。演出は女性の権利擁護を意図しているが、原作の音楽と演出の意図が噛み合っていないという指摘がなされた。
歌手については、ガエル・アルケスはコヴェント・ガーデンやブレゲンツ、テアトロ・レアルでの経験を活かし、深みのあるカルメンを演じた。アルトゥーロ・チャコン=クルスはドン・ホセ役として温かみのある叙情性を見せたが、演出上のカットにより文脈が損なわれた。ジャンルカ・マルゲリはエスカミーリョを演じ、闘牛士ではなくサッカー選手のような設定で登場した。
アロンドラ・デ・ラ・パーラによる指揮と、マドリード州立管弦楽団・合唱団の演奏は、オーケストレーションの対比を捉えた活気あるものとして評価された。一方で、原作の構成を尊重した上演であれば、より作品の魅力が伝わったのではないかという批評がなされている。



