DONIZETTI, Lucia di Lammermoor – Milan (DVD)
ミラノ・スカラ座上演のドニゼッティ『ランメルモールのルチア』DVDレビュー

2023年5月に上演され、その後新キャストでも再演された『ランメルモールのルチア』の映像作品の最大の魅力は、その近接性にある。客席からでは見えない表情、手、視線、佇まいが、映像では全く異なる立体感を持って浮かび上がる。ヤニス・コッコスによる演出は、様式化されたリアリズムとグラフィカルな抽象化の間で揺れ動く、エレガントで構築的なものだが、カメラが人物を切り取ることで新たな一貫性が生まれている。
コッコスはスコットランド的な情緒を一切排除した。シルエットの木々、噴水、ブロンズ像、空虚な空間、そしてルチアの狂乱の舞台となる巨大な白い階段。衣装は1930年代を想起させるタキシードやドレスで、意図的に曖昧な過去を設定している。黒と反射する表面が多用され、影が人物を飲み込むような映像美である。
客席では控えめに感じられた演出も、画面上ではカメラがコッコスの意図を補完し、別の価値を持つ。強制的な結婚や家族の対立といった抑圧のメカニズムよりも、人物の孤独に焦点が当てられている。オロペサの表情やフローレスの手の動き一つで、演出が意図的に影に残した内面的なドラマが浮き彫りになる。
リゼット・オロペサはこの近接性の恩恵を最も受けている。舞台上では儚げだった彼女の変貌を、映像では間近で追うことができる。「Regnava nel silenzio」から始まるベルカントの歌唱は、その曲線やコロラトゥーラの技巧を通じて、愛の震えや予兆を音楽的に表現している。カメラは彼女の微細な表情の変化を捉えている。
フアン・ディエゴ・フローレスにとっても、この映像化は貴重である。客席ではオロペサに比べ声が小さく感じられたが、録音とミキシングによりバランスが整えられた。二人の声は補完し合っており、フローレスは脆弱で無防備なエドガルドを造形している。リッカルド・シャイー指揮のスカラ座管弦楽団の演奏も、詳細な録音によってホルンや木管楽器の質が際立っている。シャイーは豊かな響きと高貴なテンポで、交響的な広がりを見せている。
ボリス・ピンカソヴィッチは、均質な音色と高貴なフレージングでエンリーコに暗い権威を与えている。オロペサとの二重唱「Il pallor funesto, orrendo」での誠実さは圧巻である。クローズアップのおかげで、歌手たちの繊細な演技を余すところなく堪能できる。