In memoriam ヘルベルト・ブロムシュテット(指揮)
指揮者のヘルベルト・ブロムシュテットが99歳で逝去

現代を代表する指揮者、ヘルベルト・ブロムシュテットが11月4日、スウェーデン・ヨーテボリの自宅で亡くなった。享年99。
1927年、スウェーデン人の両親のもと、米国マサチューセッツ州に生まれ、幼少期にスウェーデンへ移住。ストックホルム王立音楽院ならびにウプサラ大学で最初の音楽教育を受けたのち、ニューヨークのジュリアード音楽院に入学して指揮を学ぶ。また、ダルムシュタットで現代音楽を、バーゼルのスコラ・カントルムで古楽を学んだ。ザルツブルクではイーゴリ・マルケヴィチ、タングルウッドではレナード・バーンスタインに師事。
1954年、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団を指揮してデビュー。その後、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、デンマーク放送交響楽団、スウェーデン放送交響楽団などの首席指揮者を務めた。1975年から85年までシュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者、85年から95年までサンフランシスコ交響楽団の音楽監督、96年から98年までハンブルク北ドイツ放送交響楽団(現NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団)の首席指揮者を歴任。98年から2005年はクルト・マズアの後任としてライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席指揮者(カペルマイスター)を務めた。このほか、ベルリン・フィル、ミュンヘン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管、ボストン響、シカゴ響、クリーヴランド管、ニューヨーク・フィル、フィラデルフィア管など、世界の主要オーケストラに客演している。
ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーなど独墺音楽の解釈で高い評価を得る一方、シベリウスやニールセン、ステンハンマルをはじめ北欧の作品にも深い愛情を注ぎ、自身のコレクションから数十点の楽器をゲヴァントハウス管に寄贈したエピソードもある。90代後半に入っても旺盛な指揮活動を続け、今年4月にはベルリン・フィルでブルックナーの交響曲第7番、5月にはデトロイト響でマーラーの交響曲第9番などを指揮。生涯最後の演奏会となったのは、5月15日のサンフランシスコ響との共演(マーラーの交響曲第9番)で、演奏中に体調不良による中断もあったが最後まで指揮を執った。
1973年のシュターツカペレ・ドレスデンの客演指揮者としての初来日以来、日本とも深い関わりを築いた。NHK交響楽団とは1981年に初共演し、86年に名誉指揮者、2016年には桂冠名誉指揮者となった。2024年、25年にはN響定期演奏会を指揮。日本での最後の出演は2025年10月のN響定期公演Cプログラムで、ブラームスのピアノ協奏曲第2番(独奏:レイフ・オヴェ・アンスネス)と交響曲第3番を披露した。今年10月にも共演を予定していたが体調不良により来日は実現しなかった。9月には第37回高松宮殿下記念世界文化賞の音楽部門を受賞したことが発表された(10月の授賞式は欠席)。今年6月にはN響を通じて日本の聴衆へメッセージを寄せていた。
