キアロスクーロ・カルテットが奏でる ベートーヴェンの弦楽四重奏曲 《セリオーソ》から《大フーガ》へ のコピー
キアロスクーロ・カルテットがベートーヴェンの弦楽四重奏曲第9番、第11番《セリオーソ》、《大フーガ》の新譜をリリース

ヴァイオリニストの原田真帆による、キアロスクーロ・カルテットの新譜『ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第9番,同第11番,大フーガ Op.133』のレビュー。
バロック・ボウとガット弦でのアプローチを軸とする英国拠点の弦楽四重奏団キアロスクーロ・カルテットが、新たにベートーヴェンの弦楽四重奏曲第9番《ラズモフスキー第3番》、第11番《セリオーソ》、作品133《大フーガ》の3曲をモダン・ピッチで録音した。
同カルテットにとって《セリオーソ》は2013年(Apartéレーベル)以来2度目の録音となる。前回の録音からの10年超のあいだに第2ヴァイオリンが交代したことも重なり、前作がハイドン的な“疾風怒濤”の感を持っていたのに対し、今作の第3楽章などはのちの時代につながるロマンチシズムを感じさせ、緩急の作りによる差異が表れている。
結成から20年を過ぎ、透徹した音色を極めており、団体名が示す絵画技法「明暗法(キアロスクーロ)」のように明暗の境界を描き出している。また、日本語解説文で越懸澤麻衣氏が指摘するように、収録された3作には「対位法」という共通項があり、《大フーガ》では各パートが職人的に徹することで音楽に立体的な奥行きをもたらしている。
筆者個人としては、本ディスクはベートーヴェンの中期弦楽四重奏から後期への橋渡しのように感じられると評している。同団はすでに第13番(2023年、BIS)を録音しており、終楽章として書かれた《大フーガ》に取り組んだことで、未録音の後期作品(第12、14、15、16番)への進展と表現が期待される。
【商品情報】
『ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第9番《ラズモフスキー第3番》Op.59-3,同第11番《セリオーソ》Op.95,大フーガ Op.133』
演奏:キアロスクーロ四重奏団〔アリーナ・イブラギモヴァ、シャルロット・サリュースト=ブリドゥー(vn)、エミリー・ホーンルンド(va)、クレール・ティリオン(vc)〕
録音:2025年8月
レーベル・品番:BIS(D)NYCX10617(SACDハイブリッド)
発売日:2026年10月16日
協力:ナクソス・ジャパン


