Relishing the challenge: mezzo-soprano Samantha Price on singing her first Dido in Purcell's opera on tour with English Touring Opera
メゾソプラノのサマンサ・プライス、イングリッシュ・ツーリング・オペラのツアーでパーセル『ディドとエネアス』のディド役に初挑戦

イングリッシュ・ツーリング・オペラ(ETO)の秋のシーズンの一環として、パーセルの『ディドとエネアス』がエレーナ・ランゲルの2002年のオペラ『アリアドネ』との2本立てで上演される。『アリアドネ』はアンナ・モリシーが演出し、ジェシカ・ケイルがタイトルロールを務める。『ディドとエネアス』はレベッカ・メルツァー演出、アレックス・ロビンソン指揮で、マイケル・ラファティがエネアス役、サマンサ・プライスがディド役としてロールデビューを飾る。ロイヤル・ウェールズ・カレッジ・オブ・ミュージック・アンド・ドラマの卒業生で、イングリッシュ・ナショナル・オペラ(ENO)の元ヘアウッド・アーティストであるサマンサは、ETOの2025年公演(※原文表記)であるベッリーニ『カプレーティ家とモンテッキ家』でロメオ役を歌った。
取材時、サマンサはETOとのリハーサルが始まったばかりであった。これまでディド役を歌ったことはなかったが、作品自体には親しみを持っていた。多くのアリアを学ぶ若手メゾソプラノと同様にアリアを習得しただけでなく、ダーティントン・ホール(ダーティントン・カレッジ・オブ・アーツが存在していた頃)のオペラコースで同作の魔法使役を歌った経験がある。彼女は随分前のことのように感じると語る。同作が非常に有名であることから、ディド役を愛し、その挑戦を楽しんでいる。早い段階でアリアに触れており、若い歌手として英語のレパートリーがあることは有益だと感じていた。
アレックス・ベリーがデザインする『ディドとエネアス』のプロダクションは、『アリアドネ』とセットを共有し、抽象的な要素を保っている。ローマ神話に限定せず、時代を超越した感覚を目指している。物語があまり多くないため、筋書きを可能な限り明確に提示することを意図している。レベッカ・メルツァーは作品内の神話と語り口の重なりを解き明かす作業を進めている。サマンサは、本作が短いオペラであり、ディドが歌う場面もアリア2曲と多くはないことを指摘する。重要なレチタティーヴォもあり、それらは短いがプロットが極めて凝縮されている。クリストファー・ノーラン監督の映画『オデッセイ』(※原文表記)の公開や神話の一般化もあり、物語はまさに現代の時代精神の一部となっている。リハーサルでは、観客に作品の感覚を実感してもらうことについて話し合っている。
対照的に、彼女が昨年ETOで歌ったロメオ役は規模が大きく、はるかに過酷であった。2つの役がサマンサに異なる挑戦をもたらしたことを、彼女は心から楽しんでいる。ロメオ役の経験を踏まえ、サマンサはETOのツアーを非常に楽しみにしている。『ディドとエネアス』は10月9日から11月21日まで7つの会場で上演される。環境やロジスティクスに慣れてルーティンを作ることができる単一会場での公演とは大きく異なる。ツアーという要素は緊張感を保たせ、徹底した準備や当日の十分な時間管理が必要とされるとサマンサは考える。
すべての劇場が異なり、それぞれでサウンドチェックが必要で、劇場によってはセットの調整が必要になる場合もある。しかし、1時間ほどしかない時間の中でできることには限りがあり、公演の途中で問題が見つかることもあると彼女は認める。それでもサマンサは挑戦を好んでおり、指揮者や共演者と密に連絡を取り合うことで集中力を維持できると感じている。くつろいで退屈する余地は全くない。ETOが全国にオペラを届け、身近なものにしていることは素晴らしく、挑戦する価値が十分にあると感じている。決まったいくつかの劇場に留まるのではなく、さまざまな劇場を体験することができる。昨年のETOとのツアーでは、初めてバクストン・オペラ・ハウスを訪れた。
ディド役について、サマンサはストーリーテリングに焦点を当ててきた。結末で起こることを納得させるためには、役の心理的側面や、ディドが経験する変化を突き詰める必要があると感じている。観客にディドがどのようにしてそこへ至ったのかを見せたいと考えている。映画『オデッセイ』を観に行ったばかりで、古典を深く掘り下げるのを楽しんでおり、ウェルギリウスを読むなど背景の調査を重ねてきた。オペラの展開は観客が背景(オペラ以前にディドとエネアスに何が起こったのか)を知っていることを前提として唐突に始まるため、オペラを解体・分析する意味でも事前の調査が必要であると彼女は捉えている。
オペラの冒頭でディドが精神的に追い詰められているのには理由がある。父親が亡くなり、兄弟は殺害され、夫も亡くなっている。ウェルギリウスの詩において彼女は再婚しないという誓いを立てており、女王としての国家が最優先事項である。これらの出来事は、オペラで何が起こるのか、なぜ彼女が当初エネアスを信用しないのかを完全に説明づけている。彼には一定のリスクが伴うが、彼女は宮廷に説得される。それでも彼は魅力的で、話が良すぎるほどである。これらの前提が明確であれば、彼の裏切りがなぜ彼女をこれほど打ちのめすのか、より深く理解できる。
ETOでは、今秋のもうひとつの公演であるグルックの『オルフェオとエウリディーチェ』とリハーサルスペースやタイムスケジュールを共有しており、一部の歌手は両方のオペラに出演しているため、演出家にはステージングの面でロジスティクス上の課題がある。
ここ数年、サマンサはギルバート&サリヴァン(G&S)作品にも注力しており、ナショナルG&Sカンパニーの『アイダ姫』、オペラ・ホランド・パークの『近衛兵』、ENOの『イオランテ』などに出演してきた。歌手および演出家としてのジョン・サヴルナンらとの協働を楽しんでおり、ENOで『イオランテ』を演出したカル・マックリスタルを天才と評している。