「最後のチャンス」でショパンコンクール4位入賞の桑原志織、作曲家の魂に近づく経験経て成長…ショパンは「自分を厳しく導く道しるべ」(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
ショパン国際ピアノ・コンクールで4位入賞したピアニストの桑原志織が、凱旋リサイタルとコンクールでの経験を語る
昨年のショパン国際ピアノ・コンクールで4位に入賞した桑原志織(30)が今年、全国各地を巡り、凱旋(がいせん)リサイタルを行っている。ショパンの祖国ポーランドでの経験は、その魂に近づく特別なものになったという。
入賞以来、多忙な日々を送る。印象に残っているのは昨年末の東京でのリサイタルだ。ステージに出た瞬間、聞いたことのない拍手が聞こえてきた。「細かく、とめどない、うねりのような音。たくさんのお客様がいるとこんな拍手になるのだと、耳に残っています」。リサイタルは、今年に入っても盛況が続いている。「音楽は聴いていただいて価値が高まる」と幸せを感じながらピアノに向かう。
ピアノを始めたのは、4歳のとき。当初は学業優先で、小学生の頃はテスト前に1週間ピアノを触らないこともあった。中学生でピアノの道を志し、東京芸術大を経てベルリン芸術大大学院に留学。入賞歴も豊富で、20代後半には「もうコンクールはやめよう」と距離を置いた。
だが、大きなコンクールが目白押しの2025年を前に、心残りに思う気持ちが湧いた。多くは30歳までの年齢制限で、25年は自身が30歳を迎える年で最後のチャンスだったからだ。「今しかできない挑戦の場を無視するのは、逃げのような気がした」。悩んだ末、まずブリュッセルで開かれたエリザベート王妃国際音楽コンクールに出場し、入賞。そして、ショパンコンクールでの快挙。「頑張ってきてよかった、というのが率直な気持ち」と振り返る。
自らが優れたピアニストであり、ピアノを知り尽くした作曲家であるショパンの作品を弾くことは、「全身全霊を傾けても足りない」と話す。さらに、ポーランドにおいてショパンは特別な存在だ。そのポーランドでショパンの作品を弾いたことで、これまでにない感覚を覚えたという。「自分の演奏で、楽譜に残るショパンの魂がポーランドの方々の胸に帰るような、不思議で温かい感覚でした」。ショパンは「自分を厳しく導く道しるべのような存在」であり、これからも一つの軸として大切に向き合っていくつもりだ。
