コパチンスカヤ&ファジル・サイ 新作デュオ・アルバム『パトコップ&サイ』に聴く 二人の異才の音楽世界
パトリツィア・コパチンスカヤとファジル・サイが3枚目のデュオ・アルバム『パトコップ&サイ』をリリース

コパチンスカヤとファジル・サイが、デビュー盤『スーパー・デュオ!』(2008年、Naïve)、『ヤナーチェク、ブラームス、バルトーク/ヴァイオリン・ソナタ集』(2023年、アルファ)に続く3枚目のデュオ・アルバム『パトコップ&サイ』を発表した(2人はこの10月に来日するが、日程が被らずデュオは実現しなかった)。
本作では、2020年頃から「パトコップ」の名で作曲家としても活動し約50作品を手がけてきたコパチンスカヤの作品が、実質的に初めて本格収録された。アルバムにはサイのヴァイオリン・ソナタ第3番《ロスト・スクリームズ・ソナタ》も収められ、2人の作曲家・演奏家としての側面が提示されている。
コパチンスカヤを念頭に作曲されたサイの《ロスト・スクリームズ・ソナタ》は、ピアノのオスティナートとエキゾチックな狭い音程が多用された楽曲。パトコップのヴァイオリンとピアノのための《ユニソロ》(日本語版解説書では「ウニゾロ」)は、ブーレーズの1950年代セリー音楽を想起させる第1曲、フェルドマンの静謐な作品を彷彿とさせる第2曲、クラスター主体のピアノとヴァイオリンによる第3曲で構成される。
さらに、シマノフスキの《神話》や、ロシアの政治体制を憂慮するコパチンスカヤが第2次世界大戦の期間と創作時期が重なることから選んだプロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第1番も収録されている。
【アルバム情報】
『パトコップ&サイ』
収録曲:サイ:ロスト・ヴァイオリン・ソナタ 第3番《スクリームズ・ソナタ》、シマノフスキ:神話、パトコップ(パトリツィア・コパチンスカヤ):ユニソロ、プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
演奏:パトリツィア・コパチンスカヤ(vn)、ファジル・サイ(p)
録音:2026年4月26日
レーベル等:[アルファ(D)NYCX10621]CD、2026年10月16日より発売中
文:平野貴俊(音楽学)
協力:ナクソス・ジャパン

