伝統のショスタコーヴィチで新シーズン・オープン、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー
サンクトペテルブルク・フィルハーモニー協会が2026/27シーズンを開幕、アレクセーエフ指揮でショスタコーヴィチの交響曲第15番などを演奏

サンクトペテルブルク・フィルハーモニー協会の2026/27シーズンが9月25日に開幕した。新シーズンは、ショスタコーヴィチの名前を冠したホールで、毎年その作曲家の誕生日である9月25日に開幕する。このホールは作曲家立ち会いのもと、多くの作品が演奏された記念すべき場所で、戦時中やソビエト連邦時代の記憶と共に保存されている。
建物自体は貴族会館、帝国議会の会場(国家評議会)という変遷をたどり、フィルハーモニー協会が設立され、1921年に正式にその会場となった。1906年生まれのショスタコーヴィチはそうした変遷も目の当たりにしてきた。生まれたときはサンクトペテルブルクであった街も、第一次世界大戦でペトログラード(1914〜24年)に改名、1924年にはレニングラードに改名され、激動の時代を経験してきた(1991年に再びサンクトペテルブルクに改名)。そうした時代と共にロシアの音楽シーンを牽引する存在として歩んできた同協会にとって、ショスタコーヴィチは特別な存在である。
今年はショスタコーヴィチ生誕120年の記念年に当たり、多くの作品が演奏される予定となっている。今回の開幕演奏会では、同作曲家の最後の交響曲である「交響曲第15番」が取り上げられ、作曲家の作品や人生を晩年から振り返る趣向となった。
協会のオーケストラ、サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団の演奏会当日は、立ち見の出る超満員となった。当初ロッシーニ《ウィリアム・テル》序曲、プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番」、ショスタコーヴィチ「交響曲第15番」とアナウンスされていたが、冒頭の《ウィリアム・テル》がグリンカ作曲のオペラ《ルスランとリュドミラ》序曲に変更された。《ウィリアム・テル》が予定されていたのは、「交響曲第15番」に「スイス軍の行進」部分が引用されていることにちなんでと思われる。
最初にグリンカ《ルスランとリュドミラ》序曲が演奏された。テンポも緩慢にならず安定しており、クリアに響く精緻なアンサンブルを聴かせた。指揮のニコライ・アレクセーエフをはじめオーケストラ全体に「家族」のような一体感があり、アレクセーエフは先代のユーリ・テミルカーノフやエフゲニー・ムラヴィンスキーのようなスターを演じることなく誠実に音楽作りを行っている。
続いて、ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)を迎えてプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番」を演奏。ソリストとのバランスが保たれ、難曲ながら楽譜を見ながら演奏したベレゾフスキーの安定感とキレのある演奏、しっかりとした構成感が示された。
後半にはショスタコーヴィチ「交響曲第15番」が演奏された。ダイナミックさと揺るぎないアンサンブル力により、各パートが一体となって紡がれ、会場はあたたかな拍手に包まれて幕を閉じた。

