チェンバロ・リサイタルを開くアンドレアス・シュタイアー…バッハ傑作「手触り」大事に - dメニューニュース
アンドレアス・シュタイアーがチェンバロ・リサイタルを開催へ、バッハの「ゴルトベルク変奏曲」や演奏への思いを語る
18世紀のチェンバロから現代のピアノまで自在に弾きこなし、作曲当時の演奏スタイルを追究する「古楽」奏者としてスタートしたアンドレアス・シュタイアーは、徹底した楽譜・史料研究に基づくアプローチと豊かなイマジネーションで作品の神髄に迫る。近年では指揮活動にも力を入れている。
シュタイアーは「バッハ作品には様々な解釈の可能性がレイヤー(階層)のように蓄積されています。研究成果も常にアップデートされていて、『この曲の本質はこうだ』と言うことは難しい」と語る。
バッハの鍵盤作品の頂点とも言える「ゴルトベルク変奏曲」については、「綿密に計算された構成は見事です。しかし、同時に私は、作曲家の遊び心にも似たたくらみを感じます」と分析する。冒頭のアリアの主題が30の変奏の後に「ダ・カーポ」の指示で再び戻ってくることについて、「1時間以上も手の込んだ変奏が続くと、主題は忘れられてしまう。あらためて演奏することで聴き手の記憶を呼び覚ます――。そんな効果を狙ったのではないでしょうか」と述べる。
曲に関する膨大な知識や情報は参考にしても「自身の解釈には直接影響しない」とし、鍵盤に触れた指の感触を大切にしている。「指先から生まれる作品の『手触り』はとても重要です」と話し、知性と感性を高い次元で調和させることが優れた演奏の条件だとする。
現在71歳のシュタイアーは、2019年に希少がんと診断され、困難な手術を経て復帰した。「闘病中は音楽に慰めを見いだしていました。生死の淵に立たされて、ものの見方が一変し、人生の本質により集中するようになった」と振り返る。将来の計画については「私は迷信深いので、未来を言葉で先取りすると願いがかなわなくなるような気がして……」と多くを語らない。
公演は、11月22日午後2時から三鷹市芸術文化センター、同23日午後2時から神奈川県立音楽堂で開催される。