サントリーホール40周年記念 ガラ・コンサート
リッカルド・ムーティ指揮ウィーン・フィルと内田光子が出演したサントリーホール開館40周年記念ガラ・コンサートの初日公演レポート

サントリーホール開館40周年を記念したガラ・コンサートの初日が開催された。この日はセミ・フォーマル(準礼装)のドレスコードが設けられ、盛装(正装)した満員の聴衆でホールは祝祭の雰囲気に包まれた。演奏は同ホールと関係の深いウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(WPH)、指揮はリッカルド・ムーティで、このコンビでの来日は全指揮者の中で最多の6回目となる。
1曲目はベートーヴェンの序曲「コリオラン」で、弦楽器は14型の編成。ムーティの気迫に応えてWPHも燃焼度の高い演奏を披露し、特に弦楽器のアンサンブルが緊張感にあふれていた。
2曲目は、サントリーホール主催で定期的にリサイタルを行うなど同ホールと親密な関係にある内田光子をソリストに迎えたベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番。内田は冒頭のト長調の和音を深く呼吸した後に慎重に弾き始め、ベートーヴェンの理想の音色を慈しみながら紡ぎ出すような演奏を聴かせた。以前に比べ遅めのテンポで真正面から作品を掘り下げるアプローチに対し、ムーティとWPHは柔軟かつ繊細に支えた。
3曲目は林光の「3つの映画音楽」。林が1960年代に書いた「裸の島」「真田風雲録」「秋津温泉」の映画音楽から1曲ずつを選び、2011年の東京・春・音楽祭のために3楽章からなる弦楽合奏曲に編み直した作品である。16型の編成で臨んだWPHの厚く美しい響きが作品の魅力に光を当て、特に「裸の島」のテーマにおけるヴァイオリン・セクションのフラジオレットの響きが印象的であった。
メインプログラムはモーツァルトの交響曲第40番で、クラリネットが入った改訂版での演奏となった。ピリオド奏法に寄せたスタイルとは一線を画した古き良き時代のWPHのモーツァルトといった趣で、全曲にわたり中庸なテンポで旋律を深く歌い込み、優美さが際立つ演奏が繰り広げられた。
盛大な喝采に応え、アンコールとしてヨーゼフ・シュトラウスのワルツ「天体の音楽」が演奏され、華やかに幕を閉じた。なお、同ホールで開催される恒例の「ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン 2026」は11月7日から12日までの間、4公演が予定されている。
【公演データ】
サントリーホール40周年記念 ガラ・コンサート
10月31日(土)16:00 サントリーホール 大ホール
指揮:リッカルド・ムーティ
ピアノ:内田光子
管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
コンサートマスター:フォルクハルト・シュトイデ
プログラム:
ベートーヴェン:序曲「コリオラン」Op.62
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調Op.58
林光:「3つの映画音楽」
モーツァルト:交響曲第40番ト短調 K.550
アンコール:
ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「天体の音楽」Op.235
他日公演:11月1日(日)16:00 サントリーホール 大ホール