コンポージアム特別対談[イェルク・ヴィトマンを語る] 沼野雄司 × 小室敬幸|前編
コンポージアム特別対談[イェルク・ヴィトマンを語る] 沼野雄司 × 小室敬幸|前編

今年の「東京オペラシティの同時代音楽企画『コンポージアム』」は、クラリネット奏者、作曲家、指揮者として活躍するイェルク・ヴィトマンを特集する。7月9日の公演では、日本初演の《バビロン組曲》を含む3つの管弦楽作品がヴィトマン自身の指揮で披露される。これに先立ち、音楽学者の沼野雄司と音楽ライターの小室敬幸がヴィトマンの音楽性について対談を行った。
沼野は、ヴィトマンの無伴奏クラリネット・リサイタルを聴いてその演奏能力に感銘を受けたと語る。小室は、ヴィトマンが2018年のサントリーホール・サマーフェスティバルでテーマ作曲家を務めた際、演奏家としての圧倒的な実力を示したことに触れた。また、沼野はヴィトマンのヴァイオリン作品《エチュード第1巻》を高く評価し、小室はヴィトマンとカルテット・アマービレによるウェーバーのクラリネット五重奏曲の演奏から、彼の音楽的アイディアのユニークさを指摘した。
ヴィトマンの作曲スタイルについて、沼野は彼がポピュラー音楽の枠組みからクラシック音楽を見ていると分析。小室も、初期作品《1分間に180拍》のタイトルにBPMという用語が使われている点などを挙げ、その感覚がポピュラー音楽に近いと同意した。
また、ヴィトマンが青少年期に影響を受けた音楽として、ブーレーズの《二重の影の対話》や《レポン》、スティングの楽曲、マイルス・デイヴィスのアルバム『デコイ』などが挙げられた。小室は、マイルスの音楽におけるシンセサイザーの導入とヴィトマンの音楽的アプローチの共通性について考察した。
なお、東京オペラシティでは2026年7月に「コンポージアム2026」として、ヴィトマンのトークセッション、作品演奏会、武満徹作曲賞本選演奏会が予定されている。