チョン・ミョンフン指揮 東京フィルハーモニー交響楽団 第1037回サントリー定期シリーズ - 毎日クラシックナビ
チョン・ミョンフン指揮東京フィルとヴェンゲーロフが共演、第1037回サントリー定期シリーズの演奏会評
注目度の高い公演で、チケットは早々に完売した。チョン・ミョンフンが屈指の人気作を指揮する公演である。
前半はシベリウスのヴァイオリン協奏曲。昨秋の東京フィルの欧州ツアーでも共演したマキシム・ヴェンゲーロフがソリストに迎えられ、第1楽章冒頭から圧倒的な余裕が感じられた。エネルギーの満ちた音が細部まで彫琢され、カデンツァでは音色が自在に弾き分けられて技巧が鮮やかに表現された。いずれの表現も肩の力が抜け、分厚い倍音に包まれる。東京フィルの重厚な響きとヴェンゲーロフの深い音色のマッチングも良好で、余裕のある演奏により北欧の風景が目に浮かぶようであった。
ソリストのアンコールはJ.S.バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番の第1楽章「アダージョ」で、単一の旋律線の中に立体的な響きが生み出された。
後半はベートーヴェンの交響曲第7番。第1ヴァイオリンを先頭に12-12-10-8-6という編成で、生命力に富んで躍動する演奏となった。冒頭から密度の高い音が鳴り響き、第1楽章主部で主題を提示するフルートをはじめ、鋭い切れ味でリズムを刻んだ。チョン・ミョンフンは暗譜で、腕を中心に大仰ではないが表情豊かな動きで音楽を牽引した。
葬送行進曲風の第2楽章は中庸のテンポで弛緩せず緊張感が保たれ、第3楽章のスケルツォから次第に速度を増した。高揚しながら迎えた第4楽章では畳みかけるようにアッチェレッランドがかけられつつも音は細部まで制御された。金管やティンパニなどのアクセントが効き、随所にテンポの揺らぎが加えられて静と動が描き分けられ、高密度の音の中にリズムが浮き上がった。
【公演データ】
東京フィルハーモニー交響楽団 第1037回サントリー定期シリーズ
10月15日(木)19:00 サントリーホール 大ホール
指揮:チョン・ミョンフン
ヴァイオリン:マキシム・ヴェンゲーロフ
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:岡本誠司
プログラム:
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 Op.47
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92
ソリスト・アンコール:J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001より第1楽章「アダージョ」
他日公演:
10月16日(金)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
10月18日(日)15:00 Bunkamuraオーチャードホール

