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🇷🇺 ロシアピアノレコ芸ONLINE · 2026年7月31日 10:01 · レビュー· 約1分で読めます

とある2つの「ロシア・ピアニズム」 ソフロニツキーとユージナ③

とある2つの「ロシア・ピアニズム」 ソフロニツキーとユージナ③

日本語要約
音楽学者・山本明尚による連載「名演奏家再批評」第7弾の第3回。ソフロニツキーの同窓であるピアニスト、マリヤ・ユージナの生涯と芸術観を論じる。信仰と音楽を分かちがたく結びつけ、当局の弾圧下でも西側の現代音楽を擁護し続けた彼女の思想的背景と、演奏活動における苦難の歴史を辿る。
全文(日本語)

金曜連載「名演奏家再批評」の第7弾では、音楽学者・山本明尚が「ロシア・ピアニズム」のピアニストとして並び称されるヴラジーミル・ソフロニツキーとマリヤ・ユージナを、それぞれの録音観に着目して再批評する。全4回のうち、今回は3回目である。

ソフロニツキーの同窓であるマリヤ・ユージナは、1899年にロシア帝国のネヴェリでユダヤ系の家庭に生まれた。彼女はミハイル・バフチンらとの交流を通じて宗教哲学から強い影響を受け、1919年に正教へ改宗した。この決断は家族との精神的な訣別を伴うものであり、生涯を通じて信仰を隠すことはなかった。

ペトログラード音楽院でソフロニツキーやショスタコーヴィチと学んだユージナは、1921年の卒業後、演奏家・教育者として活動を開始した。しかし、公然たる信仰と、当局が禁じていたストラヴィンスキー、ヒンデミット、クルシェネク、バルトークら西側の同時代音楽を擁護したことで、レニングラード音楽院やグネーシン音楽院の職を追われた。彼女にとって演奏とは、楽譜の情報や感情の発露にとどまらず、文学と哲学の構築物であり、信仰告白であり、神への奉仕であった。

晩年も監視下で活動を続け、クラブや病院といった周縁的な会場で演奏を行った。1963年、ハバロフスクでの演奏会で予定曲目を中断し、禁じられた音楽の偉大さを説き、パステルナークの詩を朗読したことで、地元の音楽家たちから告発を受け、5年間にわたり舞台に立つことを禁じられた。

本記事では、マリヤ・ユージナの芸術として、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第29番《ハンマークラヴィーア》、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番K.488(アレクサンドル・ガウク指揮ソヴィエト国立交響楽団)を含むディスク情報が紹介されている。

関連キーワード解説 (7)
マリヤ・ユージナ人物・団体Wikipedia ↗

マリヤ・ヴェニアミノヴナ・ユーディナ は、ロシアのピアニスト。

レオニード・ニコラーエフ人物・団体Wikipedia ↗

レオニード・ヴラディーミロヴィチ・ニコラーイェフ は、ソビエト連邦のピアニスト・作曲家・教育者。

ミハイル・バフチン人物・団体Wikipedia ↗

ミハイル・ミハイロビッチ・バフチン は、ロシアの哲学者、思想家、文芸批評家、記号論者。対話理論・ポリフォニー論の創始者。記号論のタルトゥー学派の祖。

ショスタコーヴィチ人物・団体Wikipedia ↗

ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチ は、ソビエト連邦時代の作曲家。交響曲や弦楽四重奏曲が有名である。

ストラヴィンスキー人物・団体Wikipedia ↗

イーゴリ・フョードロヴィチ・ストラヴィンスキー は、ロシアの作曲家。

ヒンデミット人物・団体Wikipedia ↗

パウル・ヒンデミット は、ドイツ・ハーナウ出身の作曲家、指揮者、ヴィオラ奏者。その他にもヴァイオリン、クラリネット、ピアノなど様々な楽器を弾きこなす多才な演奏家であった。

クルシェネク人物・団体Wikipedia ↗

エルンスト・クルシェネク は、ドイツやアメリカ合衆国で活躍したオーストリア出身の作曲家。

出典: Wikipedia 日本語版(各項目の要約・CC BY-SA)
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