21世紀のワーグナー・テノール像——リレーのバトンは引き継がれたか?
21世紀のワーグナー・テノール像——リレーのバトンは引き継がれたか?

日本語要約
音楽学者の広瀬大介氏が、21世紀におけるワーグナー・テノール(ヘルデンテノール)の変遷を解説。伝統的な歌唱様式が国際化の中で変化する中、ヨナス・カウフマンやクラウス・フロリアン・フォークトの登場が転換点となった。現在はアンドレアス・シャーガーやマイケル・スパイアーズら新世代が、伝統の継承と新たな表現の模索を担っている。
全文(日本語)
《ニーベルングの指環》初演150年およびバイロイト祝祭150年を記念し、音楽学者の広瀬大介氏が21世紀のワーグナー・テノール(ヘルデンテノール)の状況を概説する。
現代の声楽界は新世代のデビューが相次ぎ、流行のサイクルが極めて速い。かつてヴォルフガング・ヴィントガッセンやルネ・コロといった大歌手でさえ、当時の伝統からは外れた歌唱として批判を受けた歴史がある。しかし、近年はワーグナー上演の伝統的な「様式」への自覚が薄い歌手も増えており、作品の凄みが客席に伝わりにくい現状がある。
2010年代の転換点となったのはヨナス・カウフマンの登場である。カウフマンはバイロイト出演は2010年の《ローエングリン》のみだが、ミュンヘン等でワーグナー作品を歌い、ヘルデンテノールの系譜に位置づけられる。しかし、イタリア・オペラ等へレパートリーを広げたことで、特定のレッテルを避けスターダムを駆け上がった。同時期に登場したクラウス・フロリアン・フォークトは、独特の声色を持ちながらも芯のある発声で、2010年以降バイロイトの伝統を支える存在となった。2026年現在、フォークトは音楽祭150周年記念の《ニーベルングの指環》でテノール役を一手に引き受ける。
一方、伝統的なヘルデンテノールのイメージを継承していたヨハン・ボータとステファン・グールドは惜しくも早逝した。現在、バイロイトを支える新世代として、ジークフリート役で成功を収めたアンドレアス・シャーガーや、バリトンとテノールの声を併せ持ち、ラウリッツ・メルヒオールやジョン・ヴィッカーズらの系譜を研究するマイケル・スパイアーズが注目されている。
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出典: Wikipedia 日本語版(各項目の要約・CC BY-SA)
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