17世紀のウィーン宮廷オペラ《黄金の林檎》が358年ぶりに上演! インスブルック古楽音楽祭
インスブルック古楽音楽祭が創立50周年を記念し、チェスティのオペラ《黄金の林檎》をオッタヴィオ・ダントーネの指揮で358年ぶりに復活上演

オーストリアのチロル地方の州都インスブルックでは、1976年から古楽音楽祭が行われている。かつて名指揮者ルネ・ヤーコプスが芸術監督を務めたバロック音楽の祭典が、今年創立50周年を迎えた。
それを記念して、17世紀中葉にインスブルックの宮廷楽長として活躍したアントニオ・チェスティ(1623-69)のプロローグ付き5幕オペラ《黄金の林檎》(イル・ポモ・ドーロ)が、チロル州立劇場にて2晩に分けて上演された(8月15・16日所見)。
《黄金の林檎》は、1666年に結婚したハプスブルク家のレオポルト1世とスペイン皇女マルガリータ・テレサを寿ぐため、1668年にウィーン宮廷歌劇場で初演された。47人の登場人物、23の装置、音楽だけで6時間半という作品で莫大な予算が投じられ、「上演不可能」とみなされて以後358年間舞台にかかることがなかった。
今回の復活上演にあたり、指揮者のオッタヴィオ・ダントーネは、楽譜の大半が失われていた第3幕と第5幕を台本をもとにチェスティの他の曲を加えて再構成した。台本はイタリアとオーストリアで活躍した劇詩人フランチェスコ・スバラによるもので、ギリシャ神話の「パリスの審判」に依拠している。
公演では、ダントーネ指揮のアカデミア・ビザンチナ、ノーヴォカント・ヴォーカル・アンサンブル、バロック歌手陣が演奏を務めた。美の女神役のジョネ・マルティネス、神々の女王役のソフィー・レンネルト、乳母役のアルベルト・アルグレッツァ、不和の女神エリス役のエステル・フェラーロ、冥界の王妃ペルセポネ役のネイマ・フィッシャー、冥界の王ハーデス役のホセ・コカ・ロザらが出演した。
ファビオ・チェレーザによる演出は、宙吊りや遠近法を用いた背景画などの17世紀歌劇の手法を取り入れ、ロココの衣裳が用いられた。本作は初めて録音され、まもなく発売される予定である。



