東京二期会オペラ ジョルジュ・ビゼー「カルメン」 【堺公演】
東京二期会がフェニーチェ堺でビゼーのオペラ『カルメン』を上演、ユージン・ツィガーン指揮大阪交響楽団と加藤のぞみらが出演

東京二期会オペラによるジョルジュ・ビゼー作曲「カルメン」の堺公演が、フェニーチェ堺 大ホールで開催された。
序曲から熱気あふれる進行のなか、米国人の父と日本人の母を持ち4歳まで日本で育った指揮者のユージン・ツィガーンは、大阪交響楽団を猛進させず、表情や抑揚に応じた豊かなアゴーギクを用いてドラマ全体を俯瞰した。セリフが除かれた構成もあって見通しが良く、2025年2月に東京でも上演されたイリーナ・ブルックの演出(時代を20~30年後の近未来に移し、スペイン色を希薄にした設定)に対し、ツィガーンの音楽はグローバルな色彩で呼応し、第3幕の青や第4幕のオレンジといった舞台の色に合わせてドラマを深めた。
カルメン役を務めた加藤のぞみの歌唱は、艶やかで木目の細かい深い声を響かせ、均質な声で自在な表現を見せた。「セギディーリャ」や「カルタの歌」をはじめ、傲慢さや蓮っ葉な表情などニュアンス豊かなカルメン像を描き出した。
ミカエラ役の宮地江奈は、清らかで芯のある支えられた声を保ち、フォルテまで美しい響きを維持した。加藤と同様にムラのない歌唱により、カルメンと対照的な女性像を浮き彫りにし、特に第3幕では意志の強さを表現した。
ドン・ホセ役の澤原行正は、息の長い歌唱で「花の歌」をゆったりと歌い、柔軟な声で叙情性から激情や狂気へと転換させ、ホセの弱さと狂気をにじませた。また、与那城敬による色気あるエスカミーリョなどとも呼応した。
主要キャストを日本人で固めた高水準な上演であり、第4幕の管弦楽と合唱、ダンスの一体感から悲劇への転換まで熱気のあふれる公演となった。
【公演データ】
東京二期会オペラ ジョルジュ・ビゼー「カルメン」【堺公演】
11月1日(日) 14:00 フェニーチェ堺 大ホール
指揮:ユージン・ツィガーン
演出・衣裳:イリーナ・ブルック
装置:レスリー・トラバース
照明:喜多村 貴
振付:マルティン・ブツコ
衣裳補:武田園子
合唱指揮:河原哲也
演出助手:彌六
振付助手:伊藤利紗
舞台監督:村田健輔
技術監督:大平久美、村田健輔
カルメン:加藤のぞみ
ドン・ホセ:澤原行正
エスカミーリョ:与那城敬
ミカエラ:宮地江奈
スニガ:ジョン ハオ
モラレス:宮下嘉彦
ダンカイロ:ヴィタリ・ユシュマノフ
レメンダード:大川信之
フラスキータ:清野友香莉
メルセデス:上久保沙耶
合唱:二期会合唱団
児童合唱:堺市少年少女合唱団・堺リーブズハーモニー
管弦楽:大阪交響楽団
プログラム:
ジョルジュ・ビゼー:オペラ「カルメン」 全4幕 日本語字幕付原語(フランス語)上演
(評:香原斗志)
