MOZART, Don Giovanni
イヴァン・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管弦楽団によるモーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』新録音

モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』は、1936年のフリッツ・ブッシュによるグラインドボーン音楽祭での録音以来、約180もの全曲盤が存在します。新たな録音を提案することは、必要性というよりは挑戦であり、まだ語られていない何かを伝えるという意志が必要です。『フィガロの結婚』『魔笛』へと続く三部作の第一弾として、イヴァン・フィッシャーとブダペスト祝祭管弦楽団は、2025年10月・11月にヴィチェンツァのテアトロ・オリンピコのパッラーディオ様式の舞台装置の前で公開収録された新しい解釈を提示しました。丁寧で魅力的な演奏ですが、聴き手を満足させきれない瞬間もあります。
序曲からして、あまり心を掴まれません。フィッシャーはライナーノーツで、冒頭の厳粛な和音とヴァイオリンのシンコペーションが、秩序と英雄の反乱という物語全体を象徴していると説明していますが、音楽的な表現は圧迫感や大胆さに欠け、どこか緩慢で不正確に聞こえます。
レポレッロ役のルカ・ピサローニは、持ち前の演劇性で登場します。ドンナ・アンナ襲撃のトリオや騎士長の死の四重唱では効果的な共演者となりました。ドンナ・アンナとドン・オッターヴィオのレチタティーヴォでフィッシャーは目覚めます。オーケストラの句読点やヴァイオリンの線は鋭さを取り戻し、マリア・ベングトソン(声はやや乱れましたが、悲劇的な姿を体現)と、情熱的なベルナルド・リヒターを支えました。
ドン・ジョヴァンニとレポレッロの対話では、イタリア人同士の掛け合いが『テンポ・ジュスト』を生み出しました。エルヴィラ役のミア・ペルソンも「Ah chi mi dice mai」で最高の歌唱を披露。カタログの歌では、オーケストラのヴィルトゥオーゾ的なピッツィカートや、ファゴット、フルートの色彩豊かな響きが楽しめます。この録音では、特に管楽器に焦点を当てた音作りが魅力の一つです。
「お手をどうぞ」の二重唱では、ドン・ジョヴァンニの誘惑とツェルリーナ(サマンサ・ガウル)の軽やかな優雅さが均衡を保っています。マセット役のダニエル・ノヨラは、悲劇の中にも節度ある尊厳を描きました。
アンドレ・シューエンの存在はこの録音の目玉です。彼は役に必要な技術とスタイルを備え、美しい音色でドン・ジョヴァンニを演じています。しかし、聴覚的には無頓着さや傲慢さ、悪魔的な暗さが不足している印象です。モーツァルトがこの役に短いアリアしか与えていないことも影響しています。「シャンパンのアリア」では力強く、「窓辺にいでよ」では美しいメッザ・ヴォーチェを聴かせました。
第一幕終盤、フィッシャーは非常に力強い指揮を見せます。四重唱「Non di fidar」や、ドンナ・アンナが犯人を悟る場面でのオーケストラの響きは圧巻です。マリア・ベングトソンはドラマティックな頂点を築き、ドンナ・アンナを『ドラマ・ジョコーソ』の中に投げ込まれた『オペラ・セリア』のヒロインへと変貌させました。
仮面の四重唱など、アンサンブルも素晴らしく、特にクラリネットの対旋律が宗教的な感情を呼び起こします。ハンガリーの管楽器の瑞々しさと、モーツァルト歌唱を熟成させた歌手たちのアンサンブルが際立つ録音です。