『メサイア』はハレルヤだけじゃない!~BCJ鈴木雅明&優人が語る、一歩進んだ名曲入門
バッハ・コレギウム・ジャパン「聖夜のメサイア」25周年を迎え、鈴木雅明と鈴木優人がヘンデルの魅力と聴きどころを語る

サントリーホールにおけるバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の「聖夜のメサイア」が25周年を迎えた。2001年に始まったこのシリーズを前に、創設者で音楽監督の鈴木雅明と、首席指揮者の鈴木優人が対談を行った。
鈴木雅明によると、最初は3年間の予定で通常版、ダブリン初演版、モーツァルト編曲版を演奏し、その後も孤児養育院版などを取り上げてきた。ヘンデルはソリストに合わせて調性を変えるなどフレキシブルな作曲家であったと語る。また、BCJの演奏姿勢について雅明は、毎年数日間のリハーサルを行い、メンバー間で議論を重ねることでフレッシュさを保っていると述べている。鈴木優人は、今年は12月15日にロンドンのバービカンでBCJによる『メサイア』を指揮するほか、その前日にオランダ、サントリーホールの後にはシンガポールでも演奏すると語った。一方、鈴木雅明は2026年12月17~19日にシカゴ交響楽団で『メサイア』を指揮することを明かし、アメリカのオケでは2時間以内に収めるためカットを求められるのに対し、サントリーホールでは省略せずシリアスに演奏してきたと振り返った。ハレルヤ・コーラスでの起立の習慣については、王様が立ったという逸話に触れつつ、起立するかどうかは聴き手の自由にすべきだとした。
バッハとヘンデルの違いについて、鈴木優人はヘンデルが『メサイア』を24日間で書き上げた速筆さや、オペラ作曲家として聴衆を飽きさせないキャッチーな魅力を挙げ、実用的なスタジオ作曲家に近いと評した。鈴木雅明も、バッハが複雑な対位法を突き詰めるのに対し、ヘンデルは理解しやすい音楽を作り、心や耳を楽しませるエンターテイナー的な性格を持っていたと語る。
『メサイア』の聴きどころとして、鈴木優人は第1部(クリスマス)、第2部(受難とハレルヤ)、第3部という3部構成の理解を挙げた。鈴木雅明は第2部冒頭からの受難のストーリー(第19曲「Behold the lamb of God」からの劇的な展開や第29曲の復活のメッセージ)を最も興味深い部分として挙げた。また、ジェネンズの台本における当時のイギリスの背景などに触れつつ、鈴木優人は歌詞が聖書の言葉だけでできているからこそ普遍性を持つと指摘した。第3部について雅明は終末と神の勝利の信仰を歌う部分とし、優人は死とその勝利、永遠の命がテーマであり、トランペットのアリアの超絶技巧などが見どころであると語った。


