HAENDEL, Floridante – Bayreuth
マックス・エマニュエル・ツェンチッチ演出によるヘンデルのオペラ『フロリダンテ』バイロイト公演

上演予定の歌手の交代や、ボノンチーニの作品との競合といった困難を経て、ヘンデルは『フロリダンテ』のスコアを何度も改訂しましたが、成功には至りませんでした。その原因は複雑な台本にあるのでしょうか。
オロンテは、かつて正当な王を暗殺してペルシャの王となりました。彼は幼い子供を一人助け出し、自分の娘と共に育てました。年頃になったその娘は、将軍フロリダンテと結婚することになります。オペラの冒頭、フロリダンテはティルス王国との戦いに勝利して帰還しますが、王の使者コラルボがフロリダンテの解任と追放を命じます。恋仲であるエルミーラとフロリダンテは納得できず、王の怒りを買います。実はオロンテは、正当な継承者であるエルミーラと結婚しようと目論んでおり、彼女に実の父ではないことを告げます。彼女が拒絶しても、オロンテは二人を脅迫し続けます。
エルミーラは「姉妹」であるロッサネに支えられています。ロッサネはティルスの王子ティマンテと婚約していましたが、戦争で破談になっていました。フロリダンテが連れ帰った捕虜が実はティマンテであり、二人は再会して愛を誓い合います。しかし、エルミーラが苦境にある中、四人での逃亡計画は失敗します。フロリダンテは投獄され、オロンテはエルミーラに彼を毒殺するよう命じます。しかし、エルミーラがロッサネに自身の出自の秘密を明かした際、それを聞いていたコラルボが旧王の忠臣たちを集め、間一髪で二人を救出します。敗北したオロンテはフロリダンテの慈悲により命を救われ、二組のカップルが結ばれ、忠誠が勝利して幕を閉じます。
この台本をどう扱うか。マックス・エマニュエル・ツェンチッチは、ペルシャという異国を舞台にすることの現代的意義を問い直しました。故ヘルムート・シュテュルマーが設計し、コリーナ・グラモステアヌが引き継いだ舞台美術は、19世紀の英国の邸宅です。そこでは聖書が朗読され、大きな十字架が掲げられています。移動式のパネルで空間が仕切られ、多くの使用人が行き交います。唯一の異国情緒は、ティルスの王子が纏う東洋風の衣装に見られます。
ツェンチッチは物語を英国に移すことで、現代の観客に分かりやすい文脈を提供しました。王がエルミーラを強引に我が物にしようとする描写など、宗教的偽善や権力者の不道徳を強調しています。また、ブルーノ・デ・サが演じるティマンテを、魔法のフルートを操るようなコミカルなキャラクターとして描き、オペラ・セリアの単調さを、使用人たちの動きやフェドーの喜劇を思わせる出入りの演出で補っています。暴力シーンの演出も優れていました。
ツェンチッチ自身の歌唱も成功を収めており、終盤のアリアは瑞々しく、音楽性も健在です。ヤニス・フランソワ演じるコラルボの優雅さや、ゲリット・イレンベルガー演じるオロンテの複雑な演技も印象的でした。
