山之内正が聴く、最新 高音質リマスター盤6タイトル
オーディオ評論家・山之内正が聴く、最新高音質リマスター盤6タイトルのレビュー

オーディオ評論家の山之内正氏が、過去の名録音を最新技術でリマスターした6タイトルを、旧盤や配信音源と比較試聴し、ダイナミック・レンジや音色、空間表現の変化をレビューした。
1. ショルティ指揮バイエルン放送交響楽団によるR.シュトラウス《アルプス交響曲》(1979年録音):新盤のLPは、旧盤と比較して弱音から強音までの幅が広く、コントラバスの刻みや楽器の配置、ヘルクレスザールの空間が自然に浮かび上がる。
2. アバド指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、フレデリカ・フォン・シュターデ(S)によるマーラー交響曲第4番(1977年録音):新盤のLPは、配信音源と比較して歌手との距離が近く、ムジークフェラインにおける歌手とオーケストラの前後関係が立体的に表現されている。
3. スヴャトスラフ・リヒテル(p)によるシューベルト ピアノ・ソナタ第21番他(1971-72年録音):新盤のSACDは、音色の陰影が深く、リヒテルが弱音の中で一音一音を吟味する表現が丁寧に聴き取れる。
4. カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団によるブルックナー交響曲第4番・第7番(1970-71年録音):新盤のSACDは、旧盤と比較して「響きの雲」のような柔らかな広がりと空間の奥行きが感じられる。
5. クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団・合唱団、エリーサベト・セーデルストレム(S)、マルガ・ヘフゲン(A)、ヴァルデマル・クメント(T)、マルティ・タルヴェラ(Bs)によるベートーヴェン《ミサ・ソレムニス》(1965年録音):新盤のSACDは、合唱の混濁が解消され、オーケストラと合唱のバランスが自然になった。
6. クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団・合唱団、エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)によるブラームス《ドイツ・レクイエム》(1961年録音):新盤のSACDは、独唱と合唱の前後関係が明瞭で、立体的な音響体験が可能となった。
山之内氏は今回のベストとして、クレンペラーの《ドイツ・レクイエム》とアバドのマーラー第4番を挙げ、リマスタリングによって演奏の本領まで違って見える復刻の面白さを評価した。
