Aからの眺望 #32 私たちの生きる余地――ハーゲン・クァルテット、最後の季節
ハーゲン・クァルテットがTOPPANホールでの公演をもって活動の締めくくりを迎えた

日本語要約
45年にわたり活動してきたハーゲン・クァルテットが、2026年夏のTOPPANホールでの公演をもってその旅を締めくくった。同ホールを「私たちのリヴィング・ルーム」と位置づけ、円熟したアンサンブルでシューベルトやモーツァルト、シューマンの作品を演奏。ユリア・ハーゲンや谷昂登も共演に加わり、彼ら固有の音楽の家へと帰還するようなラスト・ステージとなった。
全文(日本語)
ハーゲン・クァルテットは、45年にわたる世界各地での活動の締めくくりとして、2026年夏にTOPPANホールでラスト・ステージを行った。彼らは同ホールを「私たちのリヴィング・ルーム」と称し、日本での拠点として20年来の関係を築いてきた。この空間は、彼らが繊細な囁きや呟きのような表現を鮮明に届けるのに適した場所であった。
演奏において、4人は個々の対話を積み重ね、その先に合奏の理想を求める歩みを見せた。緻密さよりも精妙で有機的なアンサンブルを追求し、4人がばらばらのまま一つになるバランスを探り当てた。昨秋の所沢ミューズや今夏のミューザ川崎での公演と同様、弱音への顕著な志向がみられた。
最後の2公演では、モーツァルトの弦楽四重奏曲ト長調K387で幕を開け、シューベルトの弦楽五重奏曲ハ長調D956ではクレメンスの娘であるユリア・ハーゲンが、シューマンのピアノ五重奏曲では谷昂登が共演に加わった。さらにシューマンの弦楽四重奏曲第3番イ長調、シューベルトの弦楽四重奏曲「ロザムンデ」が演奏され、長年の旅を明朗に結んだ。彼らは感傷に頼ることなく、一期一会の演奏を最後まで全うした。
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