コンポージアム特別対談[イェルク・ヴィトマンを語る] 沼野雄司 × 小室敬幸|後編
コンポージアム特別対談[イェルク・ヴィトマンを語る] 沼野雄司 × 小室敬幸|後編

日本語要約
東京オペラシティの「コンポージアム」で特集される作曲家イェルク・ヴィトマンについて、音楽学者の沼野雄司と音楽ライターの小室敬幸が対談。日本初演となる《バビロン組曲》をはじめ、《アルモニカ》、《アド・アブスルダム(不条理)》の3作品を軸に、ヴィトマンの作曲技法や音楽的背景を紐解く。
全文(日本語)
東京オペラシティの同時代音楽企画「コンポージアム」では、クラリネット奏者・作曲家・指揮者として活躍するイェルク・ヴィトマンを特集する。7月9日の公演では、ヴィトマン自身の指揮により《アルモニカ》、《アド・アブスルダム(不条理)》、《バビロン組曲》の3作品が披露される。
《アド・アブスルダム(不条理)》は、トランペット奏者セルゲイ・ナカリャコフのために書かれた作品で、極めて速いテンポ(四分音符=184)と高度なダブル・タンギングが要求される。沼野は、ヴィトマンの音楽におけるヴィルトゥオーゾ性は、実現したい効果のために技巧が配置される「プラグマティック」な点にあると指摘。小室は、限られた編成で多彩な響きを生み出す合理性を評価した。
《アルモニカ》は、グラスハーモニカをソリストに据えた作品。沼野は当初、繊細な響きに戸惑いを感じたが、生演奏での体験の重要性を再認識した。この作品はザルツブルクのモーツァルト週間でブーレーズ指揮ウィーン・フィルにより初演されており、モーツァルトへのオマージュという側面を持つ。
メインプログラムの《バビロン組曲》は、オペラを再構築した大作。台本は哲学者ペーター・スローターダイクが手掛けた。小室は、本作が「バビロニア的な多神教」と「ユダヤ教の一神教」の衝突をテーマにしていると解説。沼野は、ヴィトマンがシニカルな視点を持ちつつ、清濁併せ呑むような懐の深さで多様な音楽要素を共存させていると分析した。ヴィトマンは、メンデルスゾーンの音楽に見られるような、異なるアイデンティティの共存にも深い関心を寄せている。
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出典: Wikipedia 日本語版(各項目の要約・CC BY-SA)
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