第3回 LPによるレーベル拡大期(1950~60 年代) その3 RCAビクターとその他のアメリカのレーベル
RCAビクターのモノラルLP時代における主要アーティストと録音の歴史

連載「クラシック・レコードレーベルと演奏家・録音の100年」の第3回は、1950~60年代のレーベル拡大期におけるRCAビクターとアメリカのレーベルについて。20世紀半ばまで、RCAビクター(1946年まではビクター)はクラシック録音界の巨人であり、SP時代の「Red Seal」は一流音楽家の証明とされていた。イギリスのHMVとの提携によりカタログを充実させ、1950年からのLP時代には「レッド・シール」としてクラシック部門を展開した。
当時の指揮者では、トスカニーニとNBC交響楽団の存在が圧倒的であった。LPの登場により、ベートーヴェンの交響曲全集やレスピーギの「ローマ三部作」、オペラ作品などの長尺録音が実現した。トスカニーニの引退と同時にNBC交響楽団は解散したが、放送音源の活用など民間企業としての柔軟な録音制作が行われた。
もう一人のスター、ストコフスキーは特定のポストを持たず、録音のたびに編成されるオーケストラを指揮した。また、クーセヴィツキーとボストン交響楽団の栄光はLPの到来とともに終わり、その後任としてシャルル・ミュンシュが就任した。その他、ピエール・モントゥー、アーサー・フィードラー、フリッツ・ライナーらもこの時期の重要な指揮者である。
ピアノでは、ルービンシュタインとホロヴィッツという二大ヴィルトゥオーゾがRCAを支えた。ホロヴィッツは1953年の「シルヴァー・ジュビリー・コンサート」以降、演奏活動を休止し、自宅での録音を中心とする活動へ移行した。また、将来を嘱望されたウィリアム・カペルは1953年の航空機事故で死去した。ヴァイオリンではヤッシャ・ハイフェッツがベートーヴェンのソナタ全集や人気曲集を録音し、その存在感を示した。
