<インタビュー>阪田知樹が紐解く“理想の音楽家”リストの素顔 デビュー15周年に集大成完成 - billboard-japan.com
ピアニストの阪田知樹、デビュー15周年とコンクール優勝10年を機に初のオール・リスト・アルバムを発表し思いを語る
2016年のフランツ・リスト国際ピアノコンクールで第1位となったピアニストの阪田知樹が、優勝から10年、デビュー15周年を迎えた2026年に、自身初となる全曲リスト作品で構成されたアルバム『ラ・カンパネッラ~リスト・ピアノ作品集』を発表する。本作は「ピアノ・ソナタ ロ短調」を核に、1851年版と1838年版の2つの「ラ・カンパネッラ」、「愛の夢」「鬼火」「夢の中で」などを収録している。
インタビューで阪田は、2026年を特別な節目としてライフワークであるリストに向き合い、春と秋(10〜11月)にリサイタル・ツアーを行う中での集大成が今回のアルバムだと説明した。選曲はリストの約75年の生涯における作風の変貌を一枚で俯瞰できる入門盤かつベスト盤を目指し、9曲を厳選した。
「ラ・カンパネッラ」については、冒頭に広く知られる洗練された1851年版を、最後にパガニーニから受けた衝撃を直接的なエネルギーでぶつけた演奏困難な1838年版を収録し、推敲の歴史を聴き比べられる構成にしたと語る。また、コンクール決勝でも弾いた代名詞である「ピアノ・ソナタ ロ短調」は約30分に及ぶ核となる作品で、前半の2曲目に配置した。同曲は軽井沢大賀ホールでの3日間の録音において、最もフレッシュな状態で一筆書きのように捉えるため最初に取り組み、全曲通しで3〜4回弾いて録音された。
11月10日には東京オペラシティ コンサートホールでオール・リスト・プログラムによるリサイタルを開催予定で、教会のような雰囲気を持つ同会場で、リストの宗教観・死生観が垣間見える作品やオペラを素材とする超絶技巧の華麗な作品を演奏する。
阪田はリストについて、矛盾した欲求を併せ持つ「極めて人間的な音楽家」と表現し、演奏・作曲・指揮・教育を兼ね備えた「コンプリート・ミュージシャン」として理想の姿であると語った。自身もピアノ演奏を軸にしつつ、今後も作曲を続けていきたいとしている。

