地味なようで輝いた2026年のロッシーニ・オペラ・フェスティバル(上) - 毎日クラシックナビ
ペーザロで開催されたロッシーニ・オペラ・フェスティバルで「コリントスの包囲」や「絹のはしご」「なりゆき泥棒」が上演される
ロッシーニの生地ペーザロで、8月にロッシーニ・オペラ・フェスティバル(ROF)が開催された。オペラは例年3演目が上演され、2演目が新演出となるのが通例だが、今年は予算の都合で新演出は1826年にパリ・オペラ座で初演された「コリントスの包囲」のみとなり、残りは合唱がない全1幕のファルサ(笑劇)「絹のはしご」と「なりゆき泥棒」の再演となった。
「主菜」となった「コリントスの包囲」は、1820年ナポリ初演の「マホメット2世」をパリ上演用に改作したフランス語の作品。15世紀半ばにオスマン帝国軍に包囲されたギリシャのコリントスを舞台とし、若い将校ネオクレスと結婚を決める総督の娘パミラ、パミラがかつて愛した相手であった敵将マオメ(マホメット)2世をめぐる物語が描かれる。演出のダヴィデ・リヴェルモーレは、古代の理想郷コリントスと環境破壊を行う現代人の対立に読み替えた。ボローニャ歌劇場管弦楽団を指揮したカルロ・リッツィをはじめ、パミラ役のヴァシリーサ・ベルジャンスカヤ(ソプラノ)、ネオクレス役のマキシム・ミロノフ(テノール)、クレオメーヌ役のマッテオ・ローマ(テノール)、マオメ2世役のアドリアン・サンペトレアン(バス・バリトン)らが揃い、合唱とともにバランスよくまとまった名演となった。
「絹のはしご」は、2009年に制作されたダミアーノ・ミキエレット演出の再演。現代のマンションに置き換えられたスピーディな舞台で、イヴァン・ロペス=レイノソが切れ味の良い指揮を披露した。ジューリア役のハスミック・トロシャンに加え、召使ジェルマーノ役のパオロ・ボルドーニャが冴えた歌唱を見せた。
「なりゆき泥棒」は1987年のジャン=ピエール・ポネル演出による再演で、シンメトリーの美しい舞台装置や鞄から登場人物や装置が現れるアイデアが披露された。指揮は新国立劇場で「イタリアのトルコ人」を振るアレッサンドロ・ボナートが務め、登場人物6人のうち5人をイタリア人、1人をルーマニア人が歌うなか、テノールのデーヴ・モナコが光る演奏を聴かせた。