ペーザロ・ロッシーニ音楽祭はフランス・オペラ《コリントの包囲》でオープン
ペーザロ・ロッシーニ音楽祭が開幕し、カルロ・リッツィ指揮によるフランス・オペラ《コリントの包囲》批評校訂版を上演

第47回を迎えたペーザロ・ロッシーニ音楽祭(ROF、会期:2026年8月11日~23日)の開幕公演として、3幕の歴史悲歌劇《コリントの包囲》がオーディトリウム・スカヴォリーニで上演された(8月11日所見)。
《コリントの包囲》は、ちょうど200年前の1826年にパリ・オペラ座(ル・ペルティエ劇場)で初演された作品で、ロッシーニが初めて書いたフランス・オペラとして成功を収めた。同年にドラクロワが『ミソロンギの廃墟に立つギリシア』を描くなど、欧州全体がオスマン・トルコ帝国からのギリシア独立戦争への熱狂に包まれていた時代に生まれた。本作は1820年にナポリで初演された2幕のイタリア・オペラ《マホメットⅡ世》を書き直したもので、バレエの加筆や台本の翻訳だけでなく、オーケストレーションの厚みや合唱の役割が強化され、《ギョーム・テル》(ウィリアム・テル)などのフランス・グランド・オペラへの道を開いた。
本公演では、音楽学者ダミアン・コラ=ガレが完成させた批評校訂版の楽譜が用いられた。20世紀まではフランス語からイタリア語へ再翻訳され、音楽が大幅にカットされた楽譜が使われていた経緯がある。カルロ・リッツィ指揮によるボローニャ市立劇場管弦楽団がドラマの緊迫感ある演奏を聴かせた。
独唱陣では、パミラ役のヴァシリーサ・ベルジャンスカヤが高音とベルカント技法を披露し、ネオクレス役のマキシム・ミロノフも繊細な音色とヴォカリーズを聴かせた。ソリスト8人のうち6人をアカデミア・ロッシニアーナ出身の若手が占めた。
ダヴィデ・リヴァモアによる新演出は、戦地のトルコ兵が携帯電話を見たりタバコを吹かしたりする演技や過剰な映像が使われ、ドラマの核心をぼかす結果となったと評された。それでもベルカント一辺倒にとどまらないロッシーニのドラマ音楽を聴けたことは大きな収穫とされた。


