新国立劇場 2026/2027シーズンオペラ ジョアキーノ・ロッシーニ「イタリアのトルコ人」(新制作)
新国立劇場がロッシーニのオペラ「イタリアのトルコ人」新制作公演を上演、アレッサンドロ・ボナート指揮とロラン・ペリー演出による舞台を香原斗志がレビュー

新国立劇場の2026/2027シーズンオペラ、ジョアキーノ・ロッシーニ「イタリアのトルコ人」(新制作)に関する香原斗志による公演レビュー。
序曲からロッシーニらしさが漲り、テンポやリズムが緻密に計算され、細やかにアーティキュレーションが加えられていた。クレッシェンドの漸増の配分も絶妙で、東京フィルハーモニー交響楽団を指揮する31歳のアレッサンドロ・ボナートは、計算を重ねつつ自然な推進力へとつなげる手練れの腕前と、物語の流れを構築する手腕を示した。
ロラン・ペリーによる演出では、奔放なフィオリッラが「フォト・ノベル」に没頭する女性として描かれ、空想の中でトルコの王子と出会う設定とされた。舞台上には現実の住居と空想を描くフォト・ノベルのページや写真の枠が交錯し、ファンタジーにあふれる表現がなされた。
歌手陣はペーザロのロッシーニ・アカデミー出身の秀でたロッシーニ歌いが揃った。ジェローニオ役のパオロ・ボルドーニャは、一定した響きと端正な表現に悲哀を滲ませる本物の歌役者の歌唱と演技を見せた。トルコの王子セリム役のアレハンドロ・バリニャス・ビエイテスは艶やかな低声を重厚かつ柔軟に響かせた。フィオリッラ役のクラウディア・ムスキオは鮮やかなアジリタで名唱を聴かせ、真摯な筆致による終盤のアリアを通じてドラマの肝を示した。ナルチーゾ役のルジル・ガティンは輝かしく湧き上がる声力を誇り、詩人プロスドーチモ役のブルーノ・タッディアは第三者的な歌唱でバランスを取った。各歌手によるアンサンブルと指揮、演出が見事に絡み合った公演となった。
【公演データ】
新国立劇場2026/2027シーズンオペラ
ジョアキーノ・ロッシーニ「イタリアのトルコ人」(新制作)
会場:新国立劇場 オペラパレス
公演日:10月2日(金)、4日(日)、7日(水)、10日(土)、12日(月・祝)
指揮:アレッサンドロ・ボナート
演出・衣裳:ロラン・ペリー
美術:シャンタル・トマ
照明:ジョエル・アダム
舞台監督:髙橋 尚史
出演:
セリム:アレハンドロ・バリニャス・ビエイテス
ドンナ・フィオリッラ:クラウディア・ムスキオ
ドン・ジェローニオ:パオロ・ボルドーニャ
ドン・ナルチーゾ:ルジル・ガティン
詩人プロスドーチモ:ブルーノ・タッディア
ザイダ:但馬 由香
アルバザール:山本 康寛
合唱指揮:冨平 恭平
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
チェンバロ:小埜寺 美樹
