バレエ「街の灯」奥村康祐・米沢唯ら稽古中、目を合わさぬパ・ド・ドゥに「感覚が研ぎ澄まされる」 - ナタリー
新国立劇場バレエ団「街の灯」の公開リハーサルが行われ、奥村康祐や米沢唯、振付のアラスター・マリオットらが作品への思いを語る
新国立劇場バレエ団「街の灯」の公開リハーサルが実施された。リハーサルではまずトランプと花売り娘の出会いのシーンが披露され、落とした花を拾って差し出しても娘が気づかず膝をついて探す姿から、トランプが彼女の目が見えていないことを悟る場面が演じられた。奥村康祐は視線を外したまま動く米沢唯をエスコートし、米沢は奥村に身体を預けながら回転やリフトを行った。
続くシーンの前に、振付のアラスター・マリオットは「かつて盲目のダンサーのパフォーマンスを観た際、優れたパートナーがいれば多様なダンスができると知りました。ただ、高速回転や高いジャンプは難しいそうです。その制約の中でどこまでロマンティックさを出せるかを追求した、前半最高のパ・ド・ドゥをお見せします」と説明。パ・ド・ドゥでは、米沢が両目を覆う手の上に奥村が手を重ねて解き放ち、米沢が奥村に腰を支えられながらパ・ド・ブレで左右に揺れ、最後は2人で車に乗り込む仕草を見せるドライブのマイムを行って退場した。
質疑応答でマリオットはスコア作りについて、チャップリン映画のスコア復元を担当するティモシー・ブロックがバレエ用に再編曲したと説明。映画で短いシーンを伸ばしたり長いシーンを縮めたりと細かくリクエストしながら進め、音楽だけで各シーンを描き出し美しくつながる形に仕上げられたと手応えを語った。
チャップリンが演じたトランプ役に挑む奥村は、チャップリン映画を研究し、「身なりは汚くても心はとても美しい」人物像を大事に優しく紳士的に演じることを心掛けていると話した。また米沢は、盲目の娘を演じる難しさについて、目線を外しながらクラシックバレエの正確なポワントワークを保つこと以上に、前を向いて生きている娘の感情を届けることが大事だと語った。役柄上目を合わせられない踊りについて、米沢は「目を合わせられないぶん、感覚が研ぎ澄まされ、彼が今どういう状態でどんな息遣いをしているのかが伝わってきます」、奥村は「感覚だけで唯さんをつかまえにいくパ・ド・ドゥには、文楽の主遣いの動きに左遣いや足遣いがついていくのに近いかもしれない」と述べた。
本作ではトランプ役に奥村のほか木下嘉人、水井駿介、石山蓮、盲目の花売り娘役に米沢のほか小野絢子、柴山紗帆、東真帆が名を連ね、ナイトクラブのシーンには木村優里、福岡雄大、井澤駿、速水渉悟、渡邊峻郁らがムービースター役で出演する。公演は10月23日から11月1日まで(日程情報には2026年10月23日〜11月1日とも記載)東京・新国立劇場 オペラパレスにて上演される。

