【インタビュー】新国立劇場オペラ『ピーター・グライムズ』指揮 大野和士に聞く|ぴあクラシック公式サイト〜poco a poco〜 - fan.pia.jp
指揮者の大野和士、新国立劇場オペラ『ピーター・グライムズ』上演に向けて作品の魅力やブリテンの音楽性を語る
ブリテンのオペラ《ピーター・グライムズ》が新国立劇場で上演されるのに先駆け、指揮者の大野和士へのインタビューが行われた(聞き手・構成:小室敬幸)。
大野は、昨年指揮したベルクの『ヴォツェック』と比較しながら、ピーター・グライムズが社会から完全に疎外された孤独な人物であると述べる。グライムズの純粋さや壊れやすい心情にブリテンが感情移入している点に触れ、さらに町の人々の狂気との対比や、ブリテンの人間観察と音楽描写の才能を指摘した。
登場人物について、大野はエレン・オーフォードを「傷つきやすく孤独なグライムズの本質を理解できた、人間的で純粋で優しい女性」とし、プロローグ終わりの二重唱を「1.5重唱」と表現。また、退役船長バルストロードについては、人生経験を積んだ理性的な人物であり、人間が「失う動物」であることを知っていたからこそグライムズを理解できたと語った。第3幕第2場で3人が揃う場面も、言葉を超えた次元にありながら完全には交わらない「2.5の交わり」が純粋な音楽で描かれていると述べている。
音楽構成について、大野はプロローグの会話調から間奏曲を経て場面が展開していく構造や、《4つの海の間奏曲》の〈夜明け〉と同じ音楽が第3幕最後にも現れることに言及。人間ドラマを包み込み、流れていく「海」の存在感がブリテンのイメージの根底にあると語った。また、かつてブリテンを「ヒューマニスト」と表現したことについて、現在はヒューマニストであり続けることが難しい中で、自身の空間にヒューマニズムを抱きしめているような存在だと捉えていると明かした。
さらに大野は、ブリテンが19世紀から続くヨーロッパのオペラ作曲家の系譜に連なる重要な存在であり、管弦楽作品の分野でも受け継がれる系譜にあるとして、日本でももっと演奏されてよい作曲家であると語っている。
【公演情報】
会場:新国立劇場オペラパレス
日程:
2026年11月23日(月・祝)14:00
2026年11月26日(木)14:00
2026年11月29日(日)14:00
2026年12月2日(水)14:00
2026年12月5日(土)14:00


