文化財の土浦亀城邸で聴く《建築家が聴いた音楽》は、聴き手を別世界へと運ぶ
文化財の土浦亀城邸で片野耕喜と小川加恵らが出演する対話型演奏会シリーズ第3回「内面としてのロマン派:シューベルト」が開催

建築家・土浦亀城(1897–1996)がどのような音楽を、どのような感覚で聴いていたのか。「建築家が聴いた音楽―建築家・土浦亀城の思考に響いた音」は、昭和初期の住宅建築を代表する土浦亀城邸で、音楽作品を演奏し、対話によって思考を深める全6回の対話型演奏会シリーズである。
東京・青山通りに面した一角に、建築家の土浦亀城・信子の自邸として1935年に建てられた、戦前日本のモダニズム住宅を未来へ繋ぐ意味で品川区上大崎長者丸から移築された建物が存在する。土浦邸は現在ポーラ青山ビルディングの敷地の南側に位置し、文化財として復元され、一般公開も行われている。
土浦邸では、同シリーズと題した親密なコンサートが2026年5月から開催されている。土浦亀城はバッハから20世紀音楽にいたる幅広いジャンルの音楽を好み、聴き続けた人物であり、その思いに寄り添う多種多様なプログラムが組まれている。
9月16日(水)に開催された第3回「内面としてのロマン派:シューベルト」では、片野耕喜(テノール)、小川加恵(ピアノ/フォルテピアノ)、久保田慶一(総合監修・ナビゲーター)により、シューベルトの歌曲とピアノフォルテの演奏が行われた。
コンサートは「野ばら」「鱒」で幕を開け、「美しき水車小屋の娘」「冬の旅」から選ばれた曲や、ピアノ五重奏曲「鱒」のピアノフォルテによる演奏も行われ、久保田の解説に続いてシューベルトの旋律が紡がれた。小川加恵はシューベルト時代の1790年後半の5オクターブ61鍵のピアノフォルテ(クリス・マネのレプリカ)を演奏した。
休憩時間には、ベルギーのピアノ製作家クリス・マネによるピアノフォルテの周りに聴衆が集まり、奏者からモデラートストップなどの機構について説明が行われた。後半にはシューベルトに加え、シューマンの『詩人の恋』が演奏された。
久保田は「土浦邸の内的な空間において、シューベルトやシューマンと詩人たちが醸し出すロマン主義の音楽と詩の内面を味わってほしい。聴き手の内面が広がり、新たな自己の発見につながるのではないか」と語った。
【公演データ】
「建築家が聴いた音楽―建築家・土浦亀城の思考に響いた音」演奏会シリーズ 第3回「内面としてのロマン派:シューベルト」
日時:2026年9月16日(水)①昼の部 14:00開演 ②夜の部 19:00開演
会場:土浦亀城邸
曲目:
F.シューベルト:歌曲「君がここにいたことを」(F.リュッケルト)
同:歌曲「ガニュメート」(J.W.v.ゲーテ)
同:歌曲「鱒」(C.F.D.シューバルト)
R.シューマン:『詩人の恋』より「君の目に見入ると」(H.ハイネ)他
出演:
久保田慶一(総合監修・ナビゲーター)
片野耕喜(テノール)
小川加恵(フォルテピアノ)


