フィリップ・グラスの米国独立宣言250周年を記念した新交響曲が、タングルウッドで初演
フィリップ・グラスの交響曲第15番《リンカーン》がボストン交響楽団によりタングルウッドで初演

フィリップ・グラスは、2026年6月にケネディ・センターで予定されていた自作の「交響曲第15番《リンカーン》」の世界初演を、今年1月に撤回した。同曲は米国独立宣言250周年記念プログラム「250 Years of Us」の中心的作品として構想されたが、グラスはトランプ政権が会長を据えるケネディ・センターの現行リーダーシップ下での上演を拒否し、政治的抗議として撤回を表明した。ケネディ・センターはこれを批判し、ナショナル交響楽団はグラスの決断に驚きを示した。
その後、ボストン交響楽団が今年3月、同曲の世界初演を夏の音楽祭タングルウッドにて7月5日に行うと発表した。タングルウッドは、ジョン・ウィリアムズの映画『リンカーン』からの抜粋や、コープランドの《リンカーンの肖像》(朗読:アレック・ボールドウィン)を含むプログラムを実現するため、独立宣言250周年関連の日程を1日延長した。
7月5日、タングルウッドのシェドで行われた初演は、カレン・カメンセクの指揮、バスのザッカリー・ジェイムズの歌唱・朗誦により行われ、観客の喝采を浴びた。全8楽章からなる本曲は、リンカーンの演説を引用し、民主主義や自由への警告、奴隷制や戦争についての省察をテーマとしている。グラスの音楽は、ミニマリスト的で反復的なサウンドを用い、スピーチに哲学的なフレームを与えている。
また、ボストン交響楽団では、音楽監督アンドリス・ネルソンスの契約を2027年で終了するという3月の発表以降、楽団員と理事会・CEOの間で軋轢が表面化している。施設維持費による経営圧迫や、新CEOによる人事刷新を含む「改革」に対し、楽団員側が反発しており、組織内部の対立が報じられている。