【レポート】チョン・ミョンフン×東京フィル《カルメン》――真夏の夜、音楽は人間の熱を映す マエストロとスカラ座キャストが自在の舞台 砂田、藤井ら日本人キャストも出色 - 美術展ナビ
【レポート】チョン・ミョンフン×東京フィル《カルメン》――真夏の夜、音楽は人間の熱を映す マエストロとスカラ座キャストが自在の舞台 砂田、藤井ら日本人キャストも出色
東京フィルハーモニー交響楽団の7月定期演奏会として、ビゼー:歌劇《カルメン》(演奏会形式・全3幕)が、7月23日にサントリーホール、26日にBunkamuraオーチャードホール、29日に東京オペラシティ コンサートホールで上演されました。指揮は東京フィル名誉音楽監督のチョン・ミョンフンが務めました。
チョン・ミョンフンは暗譜で指揮台に立ち、遊び心に溢れた音楽づくりで空間をデザインしました。東京フィルは速いテンポでも端正な弦と色彩豊かな木管、堂々とした金管でマエストロの期待に応えました。演奏は「俯瞰」と「内面への接近」を自在に行き来し、約2時間45分(休憩含む)の凝縮された構成で物語を立体的に浮かび上がらせました。
主要キャストには、今年6月にミラノ・スカラ座で同作を指揮した際と同じメンバーを迎えました。カルメン役のステファニー・ドゥストラックは自由を愛する女性を等身大で表現し、ドン・ホセ役のマシュー・ポレンザーニは叙情性と人間的な脆さを歌い上げました。エスカミーリョ役のアンドリー・キマチはスター性を発揮し、ミカエラ役のスラーフカ・ザーメチニーコヴァーは清らかな歌声で存在感を示しました。また、フラスキータ役の砂田愛梨、メルセデス役の藤井麻美ら日本人キャストも安定した歌唱で舞台を支えました。
合唱は新国立劇場合唱団と世田谷ジュニア合唱団が担当し、情熱的な物語に推進力を与えました。さらに南風野香スペイン舞踊団によるフラメンコが音楽と呼応し、情熱と郷愁を表現しました。終幕の闘牛場の場面では、ホール全体を使った響きが熱狂を広げ、マエストロはビゼーの音楽から生の輝きと儚さを描き出しました。
